COP25の要点と会議結果!企業ができる気候変動対策も

2019年12月にスペインの首都マドリードで開催された「COP25」について、何が議題となって何が決まったのかご存じでしょうか?

「どうせ中小企業には関係ないし……」

そんな風に思っている経営者の方も多いかもしれませんが、実は中小企業であってもCOPの議題や会議結果について理解しておくと、メリットが大きいかもしれません。

この記事では、「COP25」の内容が気になっている方に向けて、

  • COP(締約国会議)の意味
  • COP25の要点と会議結果
  • 日本が受賞した「化石賞」について
  • 気候変動対策をリードする日本企業
  • 一般企業がCOPへ参加する方法や注視するメリット

などについて、分かりやすく解説していきます。

そもそもCOPとは何か

COP25について触れるまえに、ここではCOP(締約国会議)の概要を解説します。

COPとは「締約国会議」という意味で、この記事では国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国による「国連気候変動枠組条約締約国会議」のことを指します。
COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)は、地球温暖化をはじめとする環境問題への対処について話し合う国際会議です。2020年2月現在で、25回開催されています。

過去の有名な会議としては、「京都議定書」が採択された1997年のCOP3、「パリ協定」が採択された2015年のCOP21などがあります。

(参考記事:国立環境研究所「COP(コップ)とは?」)
(参考記事:国連広報センター「COP24:国連気候会議」)
(参考記事:環境省「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)・京都議定書締約国会合(CMP)・パリ協定締約国会合(CMA)」)

COP25

本題のCOP25で話し合われた内容とその結果について解説していきます。

COP25では、主に

  • パリ協定6条のルール
  • 2030年の温室効果ガス排出削減目標の見直し
  • 損失と被害に関するWIM(ワルシャワ国際メカニズム)

についての話し合いが行われました。

パリ協定6条のルール

2018年に開催されたCOP24において、パリ協定の細かいルールが話し合われ、「パリ協定6条」を除くルールが合意されました。

COP25では、COP24で合意に至らなかった「パリ協定6条」について話し合いが行われました。「パリ協定6条」とは、排出量の市場メカニズムについてのルールです。
具体的には、国家間で温室効果ガスの排出量を取引できる「排出量取引」の制度を、パリ協定においてどう取り扱うかが話し合われました。
「パリ協定6条」が定める「排出量取引」の制度とは、二国間あるいは多国間の間で「CO2を排出できる上限量」あるいは「CO2の削減量」を取引(譲渡)できるようにする制度のことです。

現状、こういった制度を用いた場合、排出削減量の引き渡し国と、排出削減量の受け入れ国の双方が「○○トンの二酸化炭素を削減しました」という報告ができてしまいます。
これを「排出削減量の2重計上(ダブルカウンティング)」問題といい、排出削減量は増えているのに実質的なCO2排出量は減っていない状態が想定されます。

これでは当然、本来のパリ協定の趣旨から逸脱してしまいます。
しかし、EU諸国をはじめとするCO2削減に積極的な国と、6条を積極的に利用して自国の排出削減目標を達成しやすくしたい主に発展途上国との間で意見が分かれているのが現状です。

結局、COP25でもこの問題に結論が出ることはなく、2020年に開催予定のCOP26に話し合いが持ち越されました。
ただし、「パリ協定6条」の合意がすべての国から得られない場合でも、パリ協定は予定通り2020年から始まります。

(参考記事:国立環境研究所「COP25の概要と残された課題」)
(参考記事:WWFジャパン「COP25報告:パリ協定 積み残されたルールの議論が紛糾」)
(参考資料:WWFジャパン「COP25を前にポイントまとめ(pdf)」)

2030年の温室効果ガス排出削減目標の見直し

パリ協定では、「世界の平均気温上昇幅を産業革命前と比べて2℃未満を目指し、さらに1.5℃未満の達成に向けて努力する」となっています。

しかし、

  • 各国の2030年のCO2削減目標を合わせても2℃達成が困難
  • 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」から、地球温暖化による影響を最小限にするには5℃を目指すべきとの報告書が公表

といった事情を受けて、CO25では2030年の削減目標をさらに引き上げるべきではないかとの話し合いが行われました。
結果として、「削減目標の見直しを推奨する」という表現に留まりました。
しかし、2020年までに削減目標の強化および再提出を行うことを宣言している国(73カ国)や、国内で再度議論を行う国(11カ国)も出始めています。

(参考記事:国立環境研究所「COP25の概要と残された課題」)
(参考記事:WWFジャパン「COP25報告:パリ協定 積み残されたルールの議論が紛糾」)
(参考資料:WWFジャパン「COP25を前にポイントまとめ(pdf)」)

損失と被害に関するWIM(ワルシャワ国際メカニズム)

WIM(ワルシャワ国際メカニズム)とは、COP19で設立された気候変動枠組条約(UNFCCC)の配下組織です。

COP25において、地球温暖化が原因とされる海面上昇などで被害を受けている小島嶼国(太平洋・西インド諸島・インド洋などにある島国)が、このWIMによる金銭的な補填を「緑の気候基金(GCF)」に対し求めました。

しかし、「緩和策・適応策のみを支援対象とする既存の枠内で検討を続ける」という決定が下されました。

(参考記事:国立環境研究所「COP25の概要と残された課題」)
(参考記事:WWFジャパン「COP25報告:パリ協定 積み残されたルールの議論が紛糾」)
(参考資料:WWFジャパン「COP25を前にポイントまとめ(pdf)」)

COP25で日本に与えられた「化石賞」とは

化石賞とは、COPに参加しているNGOネットワーク「気候変動アクション・ネットワーク」が、地球温暖化対策に消極的な政府に対して贈っている不名誉な賞です。
COP25において、天然ガスの約2倍のCO2を排出する石炭火力発電への依存度が高く、また今後の対策も明確に打ち出さなかった日本は、この化石賞に2度選ばれました。

(参考記事:国立環境研究所「COP25の概要と残された課題」)
(参考記事:WWFジャパン「COP25報告:パリ協定 積み残されたルールの議論が紛糾」)

気候変動対策をリードする日本企業

外務省の「気候変動」のページでは、パリ協定の実施に際して、社会経済活動によって発生する温室効果ガスの削減の重要性を改めて言及しています。
その上で、日本の民間企業における気候変動対策・持続可能な社会の実現への取組を紹介しています。

株式会社リコー(RE100)

株式会社リコーは日本で初めてRE100に加盟した企業です。
リコーは「新しい環境目標の設定(2030年・2050年)として、

• スコープ1、2(自社オペレーション)は、2050年ゼロ、2030年30%削減
• 使用電⼒を2050年までに100%、2030年までに少なくとも30%、
再生可能エネルギーで賄う
• スコープ3(調達・使用・輸送)の目標は2030年15%削減

(参考資料:外務省「リコーの新しい環境経営目標とRE100参加について」p10より引用)
といった目標を掲げています。

(スコープ1は「サプライチェーン排出量」における、「事業者自らの温室効果ガスの排出量」のこと。スコープ2は他社から供給されたエネルギーに伴う間接排出のこと。
サプライチェーン排出量については下記記事の「企業のバリューチェーン」への言及をご覧ください)

積水ハウス株式会社(ZEHの推進)

積水ハウス株式会社では、高効率な断熱・エネルギーシステムを導入し、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとする、「ZEH」の新築販売数において、
2013年から2017年3月末までで累計28,195棟を達成したとのことです。外務省のウェブサイトでは、CO2排出削減効果についても言及しており、

2016年度の新築販売棟数の74%がZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)であり,2013年から2017年3月末までの累積28,195棟を達成しました。
また,2009年から2016年までの累積省CO2モデルのCO2排出削減効果は,年間30万トン-CO2に達しています。
2050年までに住宅のライフサイクルでCO2排出ゼロを実現し,脱炭素社会の構築を目指します。

(参考資料:外務省「気候変動対策をリードする日本の企業1」より引用)としています。

一般企業がCOPへ参加する方法や注視するメリット

一般企業にとって、COPは遠い存在かもしれませんが、COP会場で行われている

  • サイドイベントの開催・参加
  • 展示ブースの設置・訪問
などを通じて、COPに参加することも可能です。

(参考記事:国立環境研究所「COPへの「参加」とは?」)
(参考記事:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター「COPへの「参加」とは?」)

一般企業がCOPの動向を注視するメリット

紹介した通り、COPはさまざまな国の政府が参加する国際会議です。ここでの決定が、今後の各国の環境対策を大きく左右します。

近年、深刻化する地球温暖化問題を反映して、企業の環境対策に対しても、消費者や世論から厳しい目が向けられやすくなっています。
COPの動向を注視することで、これからの世論がどういった方向へ傾くのかを事前に予測し、企業の環境経営に活かすことが期待できます。

まとめ

この記事では、2019年12月にスペインの首都マドリードで開催されたCOP25における会議内容や結論について紹介してきました。

議題のひとつだった「パリ協定6条」の話し合いは平行線を辿り、次回のCOP26に持ち越されたほか、
2030年の温室効果ガス排出削減目標の見直しも「推奨する」といった表現に留まりました。

地球温暖化を防止するためにも、2020年からスタートするパリ協定に、世界の国々が本気で取り組んでいくことが求められています。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

当社を装った不審な電話にご注意ください

複数の方より、当社を装った不審な電話についての情報をお寄せいただいております。

【お寄せいただいた情報】
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世界におけるSDGsの達成状況や取り組み事例

ここ最近、メディアなどを通じて「SDGs」を目にする機会が増えているのではないでしょうか?
残念ながら、世界に比べて日本におけるSDGsの取り組みはまだまだ遅れていると言われています。

この記事では、世界におけるSDGsの達成状況や取り組みについて、詳しくご紹介していきます。

そもそもSDGsとは?

太陽光発電

SDGsは、2015年9月にニューヨークの国連本部において開催された「国連持続可能な開発サミット」において採択されたアジェンダです。

SDGsは17の持続可能な開発目標と、169項目のターゲットによって構成されています。

SDGsが掲げる目標には、「貧困の撲滅」や「飢餓を無くす」などがありますが、共通しているのは
2030年までに持続可能な形で、世界中の人々や環境をより良い方向へ向かわせていく点です。

参考リンク:外務省「JAPAN SDGs Action Platform

世界全体におけるSDGsの達成状況

世界全体におけるSDGsの達成状況

ここでは、世界全体におけるSDGsの達成状況についてご紹介していきます。

世界の地域ごとのSDGs達成率(%)

以下の表は、2019年6月に出された「Sustainable Development Report 2019」に掲載されている世界の地域ごとのSDGs達成率(平均値)を集計したものです。
数字が高い方がより達成に近いことを表しています。

欧州
※48カ国
オセアニア
※2カ国
北米
※2カ国
中南米
※25カ国
アジア
※19カ国
中東
※15カ国
アフリカ
※45カ国
SDGs-1 99.1 100.0 99.4 93.6 97.6 88.1 60.3
SDGs-2 65.7 64.6 70.6 54.8 55.4 52.0 42.3
SDGs-3 85.8 94.2 92.0 76.2 69.7 75.1 49.1
SDGs-4 89.4 95.6 95.7 76.0 73.5 67.8 46.8
SDGs-5 75.0 81.9 78.5 70.7 61.7 49.3 54.0
SDGs-6 86.3 87.8 83.0 88.9 81.0 47.9 63.2
SDGs-7 84.9 88.4 89.7 78.0 63.2 75.3 33.8
SDGs-8 74.7 87.8 86.8 65.8 70.8 57.1 52.0
SDGs-9 52.5 75.2 80.5 25.9 36.8 41.0 16.5
SDGs-10 75.0 77.1 63.4 34.9 63.1 55.1 46.9
SDGs-11 82.6 82.6 84.4 77.5 67.7 61.2 58.6
SDGs-12 61.7 52.8 44.9 71.5 72.9 65.3 77.9
SDGs-13 84.0 55.5 65.9 85.7 82.5 69.2 83.8
SDGs-14 50.9 55.9 51.9 49.5 45.5 44.8 48.4
SDGs-15 67.0 36.0 47.9 54.7 53.2 53.0 64.1
SDGs-16 73.0 85.2 79.2 52.7 67.2 68.5 55.6
SDGs-17 61.1 62.0 60.3 69.7 51.7 59.9 64.0
平均 75.1 75.4 74.9 66.8 65.7 60.8 54.0

参照:一般社団法人 英語4技能・探究学習推進協会 (ESIBLA)「世界の各地域におけるSDGs(持続可能な開発目標)の目標達成状況と課題
(データ参照元:Sustainable Development Report

世界全体のSDGs達成度ランキング上位20カ国

以下は、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が発表した
最新のSDGs達成度ランキングです。(2019年6月時点)

1位 デンマーク
2位 スウェーデン
3位 フィンランド
4位 フランス
5位 オーストリア
6位 ドイツ
7位 チェコ
8位 ノルウェー
9位 オランダ
10位 エストニア
11位 ニュージーランド
12位 スロベニア
13位 イギリス
14位 アイスランド
15位 日本
16位 ベルギー
17位 スイス
18位 韓国
19位 アイルランド
20位 カナダ
参照:Sustainable Development Report

上記のランキングを見ると日本は15位で、上位はすべて欧州の国々が占めていることが分かると思います。

世界におけるSDGsに対する取り組み事例

世界におけるSDGsに対する取り組み事例

続いて、世界におけるSDGsに対する代表的な取り組み事例について見ていきましょう。

デンマークの「UNLEASH Lab」

最新のSDGs達成度ランキングで1位となっているデンマーク。
このSDGs大国では、「UNLEASH Lab」というイノベーションラボの第1回が開催されました。

2017年8月に開催された「UNLEASH Lab 2017」には、世界中の20~30歳のミレニアル世代と呼ばれる
若い起業家や学者など1,000人が集まりました。

その後、2018年5月にシンガポール、2019年11月に中国と場所を移して同様のイベントが開催されています。

「UNLEASH Lab」では、SDGsが課題として挙げている17の目標・問題に対して、アクティブラーニングなどを通じて有効なソリューション(解決手段)を考えることを目的としています。

結果的に、「UNLEASH Lab 2017」では197のソリューションが誕生しました。
誕生したソリューションを実現するために、さまざまな組織や企業がバックアップしています。

プラスチックゴミを解決する再生可能ラップ

「UNLEASH Lab 2017」のなかで生まれたソリューションの1つに、プラスチックゴミ問題を解決するための再生可能ラップ「Reusable Smart Pallet Wrapping」があります。
現在も再生可能なラップは販売されていますが、コストが高くあまり浸透していません。
しかし、この「Reusable Smart Pallet Wrapping」はコストが抑えられているうえに、
1,000回の再利用も可能ということで、導入が進むのではないかと期待されています。

仮に上記の再生可能ラップが商品化された場合、

  • プラスチック廃棄物の石油使用量:95%削減
  • プラスチック廃棄物のCO2排出量:80%削減
  • プラスチック廃棄物による環境負荷:50%削減

が期待できるとされています。

ちなみに、このソリューションを考案したチームには日本人も参加していました。

デンマークに浸透するSDGsの考え方

デンマークのSDGs活動は、上記でご紹介した「UNLEASH Lab」だけではありません。
なんといってもSDGs達成度ランキング1位の国ですから、
街の中や国民一人ひとりにまでSDGsの考え方が浸透しています。

その一例として、デンマークのオーガニック食材の利用率の高さが挙げられます。
デンマークは、29歳以下のオーガニック食材の利用率が世界トップクラスの10.3%と高く、
レストランや大学の食堂、スーパーなど多くの場所でオーガニック食材を提供しています。

また、「UNLEASH Lab」のプログラムを体験できるツアーには、
若者だけでなく高齢の方も多く参加しているようです。
デンマークでは、若者からお年寄りまで全世代の人たちが、
SDGsの目標達成に向けて意識的に取り組んでいるのです。

国全体にSDGsが浸透するスウェーデン

スウェーデンも、デンマークと並んでSDGsに取り組んでいる国として知られています。
最新のSDGs達成度ランキングではデンマークに次ぐ2位となっており、
デンマーク同様に学ぶべきことが多い国といえます。

SDGsが目指している「持続可能(サステナビリティ)な社会」と聞くと、
エコや省エネなどの印象と重なり、なにか今の便利さを犠牲にして
環境を守ろうとしているような印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし、スウェーデンが実践しているサステナビリティ社会を見てみると、
SDGsに則った社会が人々をより豊かにしてくれることが分かると思います。

分別した缶詰で出来た橋や生ゴミで走る車や電車

スウェーデンでは、ゴミを約100種類に分別しています。
大変だなと思うかもしれませんが、誰もがいつでも簡単に分別できるシステムによって、
年間200万トンにのぼる家庭ゴミのうち、実に99%がリサイクルやゴミ発電所の燃料に回されています。

スウェーデンの街中には、分別した缶詰のゴミで作られた橋や、
電気と生ゴミ(バイオガス)を燃料にして走る車や電車、バスなども存在しています。
スウェーデン市内のバスは、1kgの生ゴミで約2キロ走るといいます。

また、スウェーデンのゴミ発電所では、国内のゴミだけでは足りなくなり、
海外からゴミを輸入するほどだとか。ゴミを燃料とした発電によって、
スウェーデン国内で25万世帯の電力をまかなっているといいます。

環境に対するルールが意識をつくる

スウェーデンにSDGsが浸透している背景として、
環境に対するルールを国民全体が理解していることが挙げられます。

そのルールとは、

  • ①環境循環の一部になる
  • ②「地下」よりも「地上」のエネルギーを選ぶ
  • ③生物の多様性を保護する
となっています。

①の「環境循環の一部になる」ですが、これは自然にかえせる量しか資源を取らないというルールで、再生に数百万年もの時間がかかる石油(プラスチック)より、
10~30年で再生する木や1年で再生する竹やバナナを使っていこうというものです。

②の「地下」よりも「地上」のエネルギーを選ぶというルールは、
地下に眠る石炭や石油といった資源ではなく、地上にある太陽光や風などを使った
再生可能エネルギーにシフトしていこうというルールです。

①と②の源になっているのが生物の多様性です。
そのため、①と②のルールを実行するためにも、生物多様性の保護が必要なのです。

スウェーデンでは、こういったルールに基づいて法律や教育、企業のルールがつくられています。
SDGsで世界トップランクなのも頷けますね。

参照:・「株式会社ワンプラネットカフェ」12
・マンションラボ「スウェーデンの住まい方が教えてくれる、これからのマンションのエコライフ」
・グリーンズ「実に年間約80万トン、100年以上! 海外からゴミを大量に輸入し続けるスウェーデン。その驚きの使い道って?

まとめ

2019年6月に発表された世界のSDGs達成度ランキングで、日本は昨年と変わらず15位と発表されました。
この結果から、日本国内でSDGsの認知は広まってきてはいますが、まだまだ上位の国と比べると差があることがわかります。

もちろん、ランキングは1つの指標に過ぎませんが、この記事で紹介したようなデンマークやスウェーデンのSDGsに対する取り組みを見てみると、
日本におけるSDGsの取り組みはまだ始まったばかりであることが分かると思います。

今後も上位の国の取り組みを参考に、日本でも国民一人ひとりが持続可能なより良い世界を目指し、「誰も切り捨てない」という意識を広めるために、官民一体となって推進していくことが必要だと感じます。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

ESG投資とは?投資家の傾向を理解して将来の企業価値を高めよう

「ESG投資」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?実は、ESGを理解して取り組むことで、企業の価値が高まり機関投資家からの投資も受けやすくなる可能性があります。
この記事では、世界で広まってきているESGとESG投資について、分かりやすく解説していきます。

ESGとは?

そもそも「ESG(イー・エス・ジー)」とは

  • 環境(Environment):省エネやCO2の削減、自然環境への配慮など
  • 社会(Social):人権問題への対応、労働環境の配慮など
  • ガバナンス(Governance):積極的な株主還元、女性管理職の起用など

の頭文字である「E」「S」「G」を抜き出してつないだ言葉です。
最近では、このESGが示している3つの観点である「環境」、「社会」、「ガバナンス(統治)」への配慮が
企業の長期的な成長のためには必要不可欠であるという考え方が、世界中で浸透しつつあります。
また、このESGに対し、企業がどのくらい取り組んでいるのかを投資判断とする「ESG投資」も、このところ広がりを見せています。
そのため、ESGに対する取り組みが足りない企業は、株主である機関投資家から「長期的な成長が望めない企業」と認識され
投資先から除外されてしまうというリスクもあります。

参考資料:Sustainable Japan「ESG(環境・社会・ガバナンス)・ESG投資)

ESG投資とは?

ESG投資とは、従来のように企業の財務状況だけで投資を行うのではなく、上記で紹介したESG「環境」「社会」「ガバナンス(統治)」に対する取り組みを重視した投資のことを指します。
ESG投資は、「持続可能な投資(Sustainable Investment)」や「責任投資(Responsible Investment)」などと呼ばれる場合もあります。
きっかけは2006年、国連が機関投資家に“責任のある投資”を呼び掛けたこと。
それ以降、利益を追求するあまり、人権問題を無視した労働を強いている企業や、環境破壊を行っている企業などに対しての投資を控え、
あるいは、株を売り資金を引き揚げるといった投資家が世界的に増えているのです。

たとえば、今私たちが当たり前のように着ている衣服。
原材料はどこで取られたのか、そしてどこで作られたのかを確認して購入しているという方は少ないと思います。

こういった衣服の製造場所が、中国やインドなどである場合があります。人件費の安い国々に委託すれば、もちろんコストは下がります。

しかし、現地で働く人々の実態はどうでしょうか。安い給与で寝る暇もなく働かされているのかもしれません。
つまり、衣服を安く生産する代わりに、現地ではもしかしたら人権を無視した労働環境が発生している可能性もあります。

同じような状況は、ほかの分野でも考えられます。建築業の場合、木材を多量に仕入れることで、森林伐採などの問題が起きていることもあります。

このような情報を開示して、人権や環境の面で安心できる企業に投資を行うこと、あるいは安心できない企業への投資を控える風潮を「ESG投資」と呼びます。

海外ではすでに多くの企業がこの問題に目を向け、リスク管理の一環として乗り出しています。
たとえば、2014年の運用資産におけるESG投資の比率を見てみると、ヨーロッパでは約60%、アメリカは約18%という結果になっています。
それに対し、日本を含むアジアはわずか0.8%とまだまだ浸透していないことがわかります。

ESGの歴史と注目されるようになったきっかけ

ESGの歴史や注目されるようになったきっかけについて、もう少し詳しく解説します。
ESG投資の前に使用されていたSRI(社会的責任投資)という言葉があります。このSRIもESGと同じように、社会倫理や環境を意識した投資手法だったのですが、
機関投資家の間では経済的なリターンが少ない(儲からない)と思われてきました。

しかし、ESG投資のように「環境」、「社会」、「ガバナンス(統治)」に積極的に取り組む企業に対し投資することは、
経済的なリターンが大きく、同時にリスクも少ないことが、大学の研究者や金融機関などが行ったESG投資の実証研究において証明されました。(研究例:大和総研)
こうした様々な結果を受けて、ESG投資がこれまでのSRIとは異なり、しっかりと投資メリット(経済的なメリット)があることが、
機関投資家の間で認識されるようになり、ESG投資が普及するきっかけとなりました。

国連による機関投資家へのPRIの呼びかけも大きな要因の1つ

また、ESG普及の歴史で欠かせないのが、PRI(国連責任投資原則)です。先程も少し触れましたが、2006年に国連のアナン事務総長(2006年当時)が
機関投資家に向けてPRI(国連責任投資原則)を呼びかけました。
PRIには、以下の6つの原則があります。

  • ESGの課題を投資分析と意思決定プロセスに組み込むこと
  • 活動的な株式所有者になり、株式の所有方針と所有慣習にESGの課題を組み込むこと
  • 投資対象の主体にESGが示す課題の適切な開示を求めること
  • 資産運用業界の中で、当原則が受け入れられ実行されることを促進すること
  • 当原則の実行する際の効果を高めるために協働すること
  • 当原則の実行に関して、活動や進捗の状況を報告すること
参考資料:デトロイトトーマツ「責任投資原則(PRI)」より日本語訳部分を引用)

上記の6つの原則を見るとわかるとおり、PRIはESGと密接な関わりがあります。
そもそも、PRIが提唱される背景には、企業の短絡的な利益優先主義による不祥事や破綻があります。企業の不祥事や破綻が起こるたびに、経済は混乱し、
不安定になり、投資家にとってもリスクになります。
そして、こうした企業の姿勢を生み出していたのは、前述したように経済的な成長しか見てこなかった機関投資家にも責任があるのです。

世界中の機関投資家の間では、「ESGを重視するPRIによって、企業や経済を持続可能な速度で健全に成長させていくこと」が、
これからの共通認識となっていくでしょう。

ESG投資の評価となる事例

では、具体的にどのような活動を行えば、ESG投資の対象と言える「ESG経営」としてみなされるのでしょう?
たとえば「環境」の場合、エコカーや太陽光発電設備などを取り入れるというのも取り組みのひとつです。また、自社ビルや工場をお持ちの方は、屋上や敷地の緑化なども環境への取り組みとして挙げられます。
「社会」への取り組みとしては、災害時に食料や水、避難場所を提供する、労働者の人権問題に取り組むといった方法が挙げられます。
東日本大震災の際には、被災地支援を行った企業の多くが、高い評価を得ています。また、「ワーク・ライフ・バランス」を考えた働き方改革も、ESG経営のひとつです。
従業員としては、働き方が変わることにより家庭で過ごす時間も増え、仕事へのやりがいが生まれます。
同時に企業としては、働きやすい環境が評判を呼び、企業のイメージアップになり労働者の増加につながります。

こういった取り組みは認知されにくいものですが、地域によってはワーク・ライフ・バランス推進に取り組む企業を認定するところもあり、
「見える化」を図ることも可能です。

一方「ガバナンス」面は、女性のキャリアアップの推進、会社の腐敗防止に取り組むといった事例が挙げられます。
日本では海外のようにESG経営の取り組みを大々的に行う企業は多くありませんが、まずは身近なところから始めてみるのが大切です。
たとえば、環境に配慮した労働環境を整える空調の温度管理やグリーンカーテンの設置といった今から挑戦できることから手を付けてみるのもおすすめです。

もちろん、コスト的な余裕がある場合には、太陽光発電やエコカーなどの導入も長い目で見れば、企業価値を高めることにつながります。

ESG投資の課題と未来

ESG投資を意識した活動は今後重要になってくるものの、メリットばかりではありません。
建設関係の場合、ESG経営を達成しようとして、森林破壊が指摘されていない地域から木材を仕入れるとなれば、原価の高騰は目に見えて明らかです。
業種によっては、コスト削減のために人件費の安い海外へ、作業の委託を行っているというところも少なくないでしょう。

しかし、これから先はESG課題への取り組みを行っていないと、将来の企業価値に大きく影響する可能性も出てきます。
2020年の東京オリンピックを控え、世界の目が日本に向けられています。
今、日本企業がどのような活動を行うかによって、投資家たちの行動が変わってくる可能性があります。

環境、人権など「ESG」に配慮していないことが、投資家の企業評価の面で大きな影響になる・・・
そんなリスク管理が必要となる時代がすぐそこまでやってきているのです。
人権問題への取り組みとして、ワーク・ライフ・バランス改革を行えば、有能な人材確保や従業員の満足度・意欲向上などにもつながります。
大切なのは「今、企業として取り組めること」を見つけること。
これにより未来の企業価値を作り上げることにもつながっていくのです。

企業価値の向上に向けて、できることから始めよう

今、世界の投資家たちは、環境や社会への取り組みとして「企業がどんな活動を行っているか」も重視しています。
日本ではまだこの考えが浸透しておらず、対策も限定的であるという課題もあります。
しかし、ESG課題への取り組みを行わないと将来の企業価値を下げることにつながりかねません。
では、企業としてどのようなESG課題への取り組みができるのか?
まずは「今、企業として取り組めること」から始めてみましょう。

環境に配慮したエコカーや太陽光発電設備を取り入れるのも、目に見えるESG経営への取り組みのひとつといえるでしょう。
これからは「ESG投資の評価を意識したリスク管理」も取り入れてみませんか?

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

SDGs(持続可能な開発目標)とは?17目標の意味や意義

SDGs:持続可能な開発目標が企業にもたらすメリットとは?

SDGs(エスディージーズ)は、世界中の貧困問題の解決や、地球の環境保護、平和などを中心に17の目標から成り立っています。

この記事では、「SDGsとは?」という疑問からSDGsと太陽光発電の関係性まで分かりやすく解説していきます。

SDGs(持続可能な開発目標)とは?

SDGs(持続可能な開発目標)とは?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、
日本語に訳すと「持続可能な開発目標」になります。

2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、
国連に加盟している193カ国が2016年~2030年の間で達成することを目標としています。

SDGs(持続可能な開発目標)には「貧困をなくそう」や
「飢餓をゼロに」などに代表される「17の目標」と、
「169のターゲット」、「230の指標」が存在しています。

(参考資料:国際連合広報センター「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」)

SDGsが掲げる17の目標

それでは、SDGs(持続可能な開発目標)が
2030年までに掲げる目標について、1つずつ見ていきましょう。

1.貧困をなくそう

「あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」という内容になっています。
この貧困の中には、中国・インドなどの高度経済成長に取り残された人びとや、
貧困の70%を占めるといわれる南アジアやサハラ以南のアフリカの人々をはじめ、
紛争や災害で被災した人も含まれています。

また、世界の最も豊かな国々でも失業や災害、
その他様々な理由による3,000万人の子供が貧困の中で生活しているといわれています。

2.飢餓をゼロに

「あらゆる形態の飢餓と栄養不良に終止符を打ち、1年を通じて子どもや社会的弱者を始めとする
すべての人が、栄養のある食料を十分に得られるようにする」という内容です。

世界では発展途上を中心に8億人近くが飢餓に陥っており、
SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて取り組まねばならないことの一つとなっています。

この飢餓を解決するには、食料の安定供給のため持続可能な農業を促進する必要があるといえます。
食料の安定供給による就業(農業への従事)、
収入や食生活の安定により子供が教育を受けることができるなど、
飢餓の解決が、持続可能な生活とその発展にもつながっていくのです。

3.すべての人に健康と福祉を

「エイズ、結核、マラリア、その他の感染症の蔓延を食い止める」というのが具体的な中身です。

毎年、これらの感染症を理由に、600万人を超える幼い子供たちが幼くして命を失っているほか、
開発途上地域では女性の半数が必要な医療を受けることができていません。

健康と福祉を得ることはひとつの人権ですから、SDGsの目標としても定められています。

4.質の高い教育をみんなに

「すべての男女が無償で初等・中等教育を修了するなど、生涯学習の機会を促進し、
包摂的かつ公平で質の高い教育を提供する」という内容になっています。

この数年間で、開発途上国の初等教育就学率は91%に達しています。
SDGs達成の鍵を握るのは教育、とさえ言えるのかもしれません。

教育を受けることができれば、貧困から抜け出すことができるだけでなく、
より平和な社会の実現にも貢献します。

5.ジェンダー平等を実現しよう

「すべての女性と女児のエンパワーメントを図り、
ジェンダーの平等を達成する」という目標になっています。

2014年時点で男女平等を憲法で保障しているのは143カ国です。
女性や女児は医療や教育、就業などで不平等とされる扱いを受けることがあります。

そうした不平等をなくし、あらゆる地域や分野で女性リーダーが多く生まれれば、
ジェンダー平等を促進させる政策や法律制定の強化に役立つことでしょう。

6.安全な水とトイレを世界中に

「すべての人に水と衛生へのアクセスを確保するため、
あらゆるレベルでのインフラ整備や衛生状態の改善」という中身になっています。

人間の活動による排水の80%以上は処理されないまま川や海に流され、
全世界で約18億人が、汚染された飲料水源を利用しています。

安全な飲み水の安定確保、衛生的な水へのアクセスは、
インフラ整備への投資や、衛生施設の提供によって、改善していくことが必要です。

7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

「すべての人に、持続可能で近代的な、信頼できて手頃な
エネルギーへのアクセスを可能にする」という内容です。

この目標を達成するためには、太陽光発電をはじめとする風力、地熱などのクリーンなエネルギー源、
再生可能エネルギーへの投資をより一層進めていく必要があります。

8.働きがいも経済成長も

「完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を、
すべての男女が達成する」というのが具体的な中身です。

全世界の失業者は2012年時点で2億200万人といわれており、
そのうち約7,500万人を若者が占めています。

生きるために仕方なく、望まない労働や、
割に合わない労働をせざるを得ない人がたくさんいるということです。

ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を達成するためには、
起業と雇用創出を促す政策の推進だけでなく、
強制労働や奴隷制、人身取引を根絶するための効果的な措置を取ることも重要です。

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

「包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、
強靭なインフラ整備や技術革新の拡大を図る」という内容になっています。

産業化によって雇用が1件増えるとその部門だけでなく、
他部門でも2.2件雇用が生まれるとされています。
産業化することで人々の雇用の機会が増え生活水準の向上、さらなる産業化が進みます。

10.人や国の不平等をなくそう

「国内や国家間の格差を是正する」というものです。
民族や宗教、障害の有無などを理由とする不平等は根強く残っています。

そういった不平等が発展の壁になったり、貧困・犯罪の要因となる恐れがあります。

11.住み続けられるまちづくりを

「スラム地区の改善を図り、安全で手頃な価格の住宅への
アクセスを確保する」という目標になっています。

エネルギー消費量の60~80%、また炭素排出量の75%を占めているのが、
地球上の陸地面積のたった3%に相当する都市で消費されているのです。

このまま何も対策せずに都市が拡大していくと、
大気汚染などの増加だけでなく、生活水準の過度な高騰によって、
スラム化、無秩序化するエリアや人が増えていってしまいます。

そうなると結果的に、人的・社会的・経済的な損失が発生してしまうため、
「住み続けられるまちづくりを」という目標を掲げて、これらの問題を回避する必要があります。

12.つくる責任、つかう責任

「より持続可能な消費・生産パターンへと移行する」ということが
具体的に掲げられています。

これは個人でも簡単にできることがあり、ゴミを減らすことです。
ゴミを減らすことは食料を無駄にしないだけでなく、
プラスチックなど環境汚染の原因を減らすことにもなります。

13.気候変動に具体的な対策を

「緊急対策を講じ、気候変動とその影響に立ち向かう」という中身になっています。
気候が悪化すると食料不足や水不足をはじめ、紛争の原因となりかねません。

地球の平均温度の上昇を摂氏2度未満に抑えられるよう
対策をとっていく必要があります。

14.海の豊かさを守ろう

「海洋および沿岸の生態系を持続可能な形で管理し、
プラスチックごみなどの汚染から守る」という内容になっています。

海は重要な天然資源を提供するとともに
汚染物質などの分解と排除にも役立っています。

また、海の維持は気候変動の緩和にもつながります。

15.陸の豊かさを守ろう

「陸上生態系の保護、森林の持続可能な管理、回復および持続可能な利用の推進、
土地劣化の阻止および逆転、砂漠化への対処、
ならびに生物多様性損失の阻止を図る」というものです。

森林は地球上の陸地面積の約31%を占めており、
飲料水や食料にいたるまで私たちの生命を維持する重要な役割を果たしています。

16.平和と公正をすべての人に

「政府やコミュニティと協力し、あらゆる形態の暴力を大幅に削減するとともに、
紛争と情勢不安を恒久的に解決する」という目標内容になっています。

SDGsを実現するためには平和で包括的な社会であることが必要です。
そのためには民族的出身や宗教、ジェンダーや意見など異にする人々を尊重することが重要です。

17.パートナーシップで目標を達成しよう

「グローバル・パートナーシップを活性化し、
持続可能な開発目標の実現に向けて実施手段を強化する」という内容です。
SDGs達成のためには各国政府・市民社会、科学者など全員が結束を図る必要があります。

「169のターゲット」と「230の指標」

SDGs(持続可能な開発目標)には、上記で紹介した「17の目標」とは別に、
「169のターゲット」と「230の指標」が存在しています。

SDGsの「169のターゲット」

SDGsの「169のターゲット」には、上記で紹介した「17の目標」の項目ごとに、
7~15個程度の詳しいターゲット(目標)が記されています。

合計で169個もあるため、ここでは詳しく紹介はしませんが、例えば最初のターゲットは
「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困を、
あらゆる場所で終わらせる」といった内容になっています。

SDGsの「230の指標」

SDGsの「230の指標」は、上記で紹介した「169のターゲット」を
更に詳細に記したものとなっています。

具体的には、各国ごとの状況にあわせて、Tier1、Tier2、Tier3に分かれています。

太陽光発電もSDGsに貢献

太陽光発電もSDGsに貢献

太陽光発電は、SDGsの7つ目の目標である

「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の実現のために必要不可欠です。
化石燃料に依存している現在の状態では、温室効果ガスの排出量が増えてしまう一方です。
最近では、温暖化が原因となる異常気象が世界中で相次いでおり、
目に見える形で脅威となり始めています。
こうした状況を打開するために、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)では再生可能エネルギーの普及を目標として掲げています。
太陽光発電は、そんな再生可能エネルギーの筆頭になります。

SDGsでは、今後世界中で太陽光発電の生産を拡大していく目標を掲げていますので、
太陽光発電のさらなる需要増や、それにともなうコストダウン、性能アップは間違いのない情勢といえるでしょう。

今後を見据え、SDGsの目標設定に企業として取り組むために太陽光発電を検討されている場合は当社までお問い合わせください。

まとめ

2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、
簡単にいうと「世界をもっと良くしよう」ということです。
SDGsは「17の目標」と「169のターゲット」、「230の指標」で構成されており、
目標達成のためには各国の協力が不可欠です。
太陽光発電は、7番目の目標である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」
13番目の目標である「気候変動に具体的な対策を」に大きく寄与しており今後世界中でさらなる需要増が見込まれています。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

グリーン電力証書・J-クレジット・非化石証書の特徴や違いとは?

再生可能エネルギーなどを利用した発電により、
CO2を排出していない「環境価値」が高い電気を企業などの間で取引する手段として、
「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」があることをご存知でしょうか?

この記事では、「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」それぞれの特徴や、メリット・デメリット、今後の課題などについて解説していきます。

「環境価値」取引とは?

昨今、「環境価値」という言葉が使われるようになりました。「環境価値」とは、CO2(二酸化炭素)を排出しない発電手段でつくられた電気は
CO2を削減できる付加価値があるとされ、電気そのものの価値とは別に存在しています。

具体的には、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーなどによって発電された電気に「環境価値」が付与されます。

そして、企業の間で「環境価値」を取引できる制度として「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」の3種類があります。
それぞれの制度は特徴や目的が違いますので、以下で詳しく解説していきます。

グリーン電力証書とは?

グリーン電力証書とは?

グリーン電力証書とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによって発電された電気(グリーン電力)の環境価値を証券化して、
企業や自治体の間で取引を可能にした制度です。
なお、グリーン電力証書発行事業者によって証券化されますが、
その認定は第三者機関(一般財団法人日本品質保証機構)によって行われています。

(参考資料:一般財団法人 日本品質保証機構「グリーンエネルギー認証」)

グリーン電力証書の目的

グリーン電力証書の目的は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電設備を持たない企業でもグリーン電力証書を購入することで地球温暖化防止に貢献できるようになるという点です。グリーン電力証書を購入することで、SBT(Science-based Targets)やRE100などの地球温暖化防止に関するさまざまな取り組みに企業を参加しやすくするという狙いもあります。

グリーン電力証書のメリット

グリーン電力証書のメリットは、発電事業者と購入企業それぞれに存在します。

グリーン電力証書を売却する発電事業者のメリット
まず発電事業者のメリットですが、太陽光発電などの「自家消費電力分」に含まれる環境価値をグリーン電力証書にして販売することで利益を得ることで、発電設備の拡大や維持に利用できます。
また、グリーン電力証書を販売することで、発電設備をもたない企業のCO2削減やSBT、RE100といった地球温暖化防止の取り組みへの参加に貢献できます。
グリーン電力証書を購入する企業のメリット
  • グリーン電力証書を購入することで、SBTやRE100、CDPなどの地球温暖化防止に関する各種制度において、再エネ使用量やCO2削減量として報告できます。
  • 発電設備を持っていない企業でも、再生可能エネルギーの普及に貢献できます。
  • グリーン電力証書を購入することで、グリーン電力の利用を示すマークが提供され、企業広告や製品・サービスのPRなどに幅広く使用することが可能です。
  • 地球温暖化防止のための再エネ使用やCO2削減実績として、コーポレートサイトなどでアピールすることができます。

グリーン電力証書のデメリット

グリーン電力証書のデメリットも発電事業者と購入企業それぞれに存在します。

グリーン電力証書を売却する発電事業者のデメリット
グリーン電力証書の売却価格の相場は変動するので、値下がりしてしまう場合もあります。相場が値下がりしてしまった場合、発電事業者にとっては
予想していた利益よりも下がってしまうなどのリスクがあります。
また、自社で発電した電気の環境価値をグリーン電力証書にして売却してしまうと、
その分、自社で「CO2削減に直接貢献した」といったアピールを行えなくなってしまいます。
グリーン電力証書を購入する企業のデメリット
グリーン電力証書は民間のグリーン電力証書発行事業者が発行している証書ですが、「第1回我が国企業による国際的な気候変動イニシアティブへの対応に関する研究会」(平成30年10月29日経済産業省)では、グリーン電力証書についてRE100への利用が可能と確認されています。

J-クレジットとは?

J-クレジットとは?

J-クレジット制度とは、太陽光発電システムや省エネルギー設備の導入などで減らすことに成功したCO2(二酸化炭素)の削減量を、「J-クレジット」という形で国が認可し企業や自治体の間で取引を可能にした制度です。
なお、J-クレジットを生み出す人のことを「J-クレジット創出者」、Jクレジットを購入する人のことを「J-クレジット購入者」と呼びます。

J-クレジットの目的

J-クレジットの目的は、CO2削減量を「J-クレジット」という形で企業や自治体の間で取引をしやすくすることで、二酸化炭素をはじめとする
温室効果ガスの削減に貢献しやすくすることにあります。
そして、その先には日本が掲げる2030年度に向けた温室効果ガス削減目標(2013年度比で26.0%削減)の達成という目的もあります。

J-クレジットのメリット

ここでは、「J-クレジット創出者」および「J-クレジット購入者」のメリットについて解説していきます。

J-クレジット創出者のメリット

  • J-クレジットの売買を通じて、さまざまな企業の地球温暖化対策に貢献できるだけでなく、J-クレジットを購入した企業と新たなネットワークが広がる可能性があります。
  • J-クレジットの売却益を得ることができます。売却益は、発電設備に費やした資金の回収や、新たな設備投資などへ活用できます。
  • 自社消費型太陽光発電の設置などによりJ-クレジットを生み出す過程で、CO2など温室効果ガスだけでなく電気代も削減することが可能です。
  • J-クレジット創出者になることで、CSR(企業の社会的責任)活動へ参加ができるので、企業が地球温暖化対策に積極的であることをアピールできます。
  • 削減したCO2量が見える化されることにより、関わる社内スタッフのモチベーション向上が期待できます。
(参考資料:J-クレジット制度「J-クレジット制度について」J-クレジット創出者のメリットの項目より)

J-クレジット購入者のメリット

  • 自社で定めた温室効果ガスの削減目標に届かない場合など、J-クレジットを購入することで目標の達成や、温対法や省エネ法の対策に活用できます。
  • J-クレジットを購入することで、カーボンオフセットに取り組んでいる企業としてアピールすることができます。
  • J-クレジットの売買を通じて、J-クレジットを販売している企業と新たなネットワークが広がる可能性があります。
参考資料:J-クレジット制度「J-クレジット制度について」J-クレジット購入者のメリットの項目より

J-クレジットのデメリット

J-クレジットのデメリットとしては、J-クレジット創出者になるためのハードルが高いことが挙げられます。具体的には

  • プロジェクト登録の手続きが複雑で、平均5ヶ月ほどかかってしまう。
  • J-クレジットの売買成立までに時間がかかる上に、売却収入を得られる時期も正確に把握しにくい。
  • 1年間のモニタリング期間などの影響で、プロジェクト登録申請からクレジット販売(売却収入発生)までの間に約4年間かかる。
  • J-クレジット創出者側のインセンティブが小さい。

などといった課題があり、今後はこれらの課題を解決し、J-クレジット創出者を増やすことが求められています。

エコスタイルJクレジットクラブ

エコスタイルは、J-クレジット制度に基づいたプロジェクト「エコスタイルJクレジットクラブ」を立ち上げることで、お客様が削減したCO2排出量を収集し、環境負荷軽減の活動に役立てています。詳しくはこちらをご覧ください。

非化石証書とは?

非化石証書とは?

非化石証書とは、その電気が化石燃料を使用していない「非化石電源」からつくられた電気であることを証明するもので、
2018年5月に創設された非化石価値取引市場で売買されています。
非化石証書には、「FIT非化石証書」が存在しており、2020年度からは「非FIT非化石証書」が追加されます。

主な違いは以下の通りです。

FIT非化石証書 太陽光発電、風力発電、小水力発電などFIT(固定価格買取制度)が
適用される発電方法で発電された電気に対する証書
非FIT非化石証書 FITの期間が満了した再エネ発電や大型水力発電、
原子力発電などで発電された電気に対する証書

非化石証書の目的

非化石証書および非化石価値取引市場が設立された背景には、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び
化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(高度化法)があります。

この高度化法によって小売電気事業者は「2030年度までに調達する電気の非化石電源比率を44%以上にすること」が
求められるようになりました。
小売電気事業者がこの目標を達成できるようにするために、非化石証書制度がつくられ非化石電源の電気を購入できるようになりました。

非化石証書のメリット

  • 非化石証書を購入することで、温室効果ガスの排出量の公表が求められる「CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)」の報告書に活用できます。
  • 非化石証書を購入することで、企業の事業運営における再生可能エネルギーの使用率を100%にすることを目標とした国際イニシアチブ「RE100」において、進捗状況の報告書に使用できます。ただし、発電所の所在地などのトラッキング情報を付与した非化石証書に限ります。
  • 非化石証書の販売収益は再エネ賦課金の値下げに使用されるため、国民全体にメリットがあります。

非化石証書のデメリット

  • 非化石証書の販売収益は再エネ賦課金の値下げに使用されるため、発電事業者は収益が発生しません。そのため、非化石証書を販売する発電事業者が増えにくいと考えられています。
  • 少し説明しましたが、非化石証書に原子力発電や大型水力発電によりつくられた「非FIT非化石証書」も加えることが、2020年度から予定されています。確かに非化石電源ではありますが、原発事故が起きれば環境コストが計り知れない原子力発電を非化石証書に加えることに、非難や再検討の必要性が高まっています。

3種類の証書の特徴を比較してまとめると?

ここでは、上記でご紹介した3種類の証書の特徴や目的などをまとめて比較していきます。

各証書の特徴を比較

グリーン電力証書 太陽光発電や風力発電などの
再生可能エネルギーによって発電された電気(グリーン電力)の環境価値を証券化
J-クレジット 太陽光発電や省エネ機器の導入などによる
CO2(二酸化炭素)の削減量を「J-クレジット」として国が認可
非化石証書 石油や石炭を使用しない「非化石電源」から
つくられた電気であることを証明する証書

各証書の目的を比較

グリーン電力証書 再エネ発電設備を持たない企業でも、地球温暖化防止に貢献できるようにするため
J-クレジット 企業が温室効果ガスの削減に貢献しやすくするため
非化石証書 高度化法に定められた
「2030年度までに調達する電気の非化石電源比率を44%以上」という目標を、
小売電気事業者が達成するため

各証書の発行元を比較

グリーン電力証書 グリーン電力証書発行事業者により発行
J-クレジット 経済産業省、環境省、農林水産省により発行
非化石証書 経済産業省により発行

各証書を創出する手順

グリーン電力証書 再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電など)による発電
J-クレジット 再生可能エネルギーや省エネ機器による温室効果ガスの削減
非化石証書 石油や石炭を使用しない非化石電源(再生可能エネルギーや原子力発電)による発電

企業の地球温暖化対策として期待される役割

「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」はその制度や目的などはそれぞれ違うものの、共通しているのは
「二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化対策に貢献する」という役割の部分です。
「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」という3種類の証書の取引によって自社で発電設備が無かった企業には参加へのハードルが高かった
RE100やSBT(Science-based Targets)といった国際的イニシアチブにも積極的に参加する機会が増えると考えられます。
また、購入者の温帯法や省エネ法の対策や、CSR(企業の社会的責任)の取り組み、「CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)」の報告にも活用できるでしょう。
「グリーン電力証書」「J-クレジット」「非化石証書」それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかり理解し、企業の経営に役立てていきましょう。

当社は環境省加盟の「企業版2℃目標・RE100アドバイザー」

当社は環境省加盟の「企業版2℃目標・RE100アドバイザー」として、企業の温室効果ガスの排出量削減の達成に向けて、電気の利用状況を基に、最適な再エネ電源の導入量をシミュレートも行っています。
コスト重視・再エネ比率重視など、お客様のニーズに合わせた電源の導入及び証書取得による再生可能エネルギーの比率向上・排出量削減をサポートします。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。