グリーンボンドって何?特徴や種類、メリット・デメリット

「グリーンボンド」についてご存じでしょうか。

グリーンボンドとは、企業や自治体などが、国内外のグリーンプロジェクトに使用する資金を調達するために発行する債券のことを指します。
この記事では、グリーンボンドについて詳しく知りたい方のために、

  • グリーンボンドの概要
  • グリーンボンド原則の構成要素
  • グリーンボンドの種類
  • グリーンボンドを発行するメリットとデメリット
  • グリーンボンドに投資するメリットとデメリット
  • グリーンボンドの市場規模

などについて、わかりやすく解説していきます。

グリーンボンドとは?

グリーンボンド

はじめに、グリーンボンドの概要や特徴、発行主体、投資家の特徴について解説していきます。

グリーンボンドとは

グリーンボンドとは、企業や地方自治体などがグリーンプロジェクト(環境改善を目的とする事業)の資金として使用することを目的に発行する債券のことを指します。
またグリーンボンドは、近年、世界的な拡大を見せているESG投資(環境や社会、企業統治に配慮している企業を選別して行う投資)の手法のひとつでもあります。

グリーンボンドの特徴

グリーンボンドの主な特徴は、以下の3つです。

  • 調達した資金の使いみちが、グリーンプロジェクト(環境改善事業)に限定される
  • 調達した資金は、確実に追跡・管理が行われる
  • 調達した資金の使いみちや管理について、グリーンボンド発行後のレポーティングで報告を行うことで、透明性が確保される

グリーンボンドの発行主体

グリーンボンドの発行主体(発行する団体)は、以下の3つです。

  • 自らが実施するグリーンプロジェクトの原資を調達する一般事業者
    (専らグリーンプロジェクトのみを行うSPCを含む。)
  • グリーンプロジェクトに対する投資・融資の原資を調達する金融機関
  • グリーンプロジェクトに係る原資を調達する地方自治体
(参考資料:環境省「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」より引用)
一般事業者の発行事例

上記でご紹介した発行主体のうち、一般事業者のものでは2020年1月に100億円のグリーンボンドを発行した「オリックス株式会社」の事例があります。今回のグリーンボンドで調達した資金は、全額をオリックス株式会社が開発・運営している約1000MWの太陽光発電事業に充てられる予定です。
オリックス株式会社では、グリーンボンドによる資金で太陽光発電事業や風力発電事業などの再生可能エネルギー事業を進め、持続可能な社会の実現に貢献していくことを発表しています。

参考資料:オリックス株式会社「初のグリーンボンドの発行について」

地方自治体の発行事例1

東京都では、2019年10月に3回目となる「東京グリーンボンド」を発行しました。
発行額は100億円で、みずほ銀行や三菱UFJ銀行、住友生命保険など36団体が投資を表明しています。東京都は、3回目となるグリーンボンドにおいて発行額を超える需要があったことを明かし、グリーンボンドで集めた資金で環境施策を進め、スマートシティを実現すると発表しました。

参考資料:日本経済新聞「東京都の環境債、機関投資家36団体が投資表明」

参考資料:オリックス株式会社「初のグリーンボンドの発行について」

地方自治体の発行事例2

長野県では、数十億円規模を想定するグリーンボンドを、2020年度中に発行することを明らかにしています。長野県では、グリーンボンドで集めた資金の使いみちとして、小水力発電の整備や第三セクター「しなの鉄道」に対する省エネルギー車両の導入、県警察の駐在所2カ所におけるゼロ・エネルギー化モデル事業などを想定しています。

参考資料:日本経済新聞「長野県、グリーンボンド発行へ」

グリーンボンドの主な投資家

グリーンボンドの投資家としては、主にESG投資を行っている機関投資家やESG投資の運用を受託している運用機関などが考えられます。
ESG投資とは、世界的に広がりを見せている投資手法で、「環境・社会・企業統治」に配慮した企業を重視して行う投資のことです。

  • ESG投資を行うことを表明している年金基金、保険会社などの機関投資家
  • ESG投資の運用を受託する運用機関
  • 資金の使途に関心を持って投資をしたいと考える個人投資家
(参考資料:環境省「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」より引用)

グリーンボンド原則(GBP)の構成要素

グリーンボンド

ここでは、グリーンボンド原則(GBP)の意味や4つの構成要素について解説します。

グリーンボンド原則(GBP)とは?

グリーンボンドは、その定義が法律で定められているわけではなく発行主体が使途を自己申告する債券です。
そのため、「グリーンボンドで集めた資金が本当に環境改善事業に使用されているか」が、投資する側には重要な問題となります。
そんなグリーンボンドの透明性を確保するために設けられたのが、グリーンボンドを発行する際の自主的なガイドライン「グリーンボンド原則(GBP)」です。
グリーンボンドを発行する企業や地方自治体などは、この「グリーンボンド原則」に則って発行を行うことが求められています。

グリーンボンド原則を構成している要素は、以下の4つです。

  • グリーンプロジェクトの対象区分を例示
    5つの環境目的(①気候変動緩和策、②気候変動適応策、③自然環境保全、④生物多様性保全、⑤汚染対策)に資するものを、適格性のあるグリーンプロジェクトとしています。
  • プロジェクトの評価と選定のプロセス
    グーリンプロジェクトにおける目標、選定プロセスなど投資家に伝えるべき点を規定しています。
  • 調達資金の管理
    グリーンボンドで調達した資金の透明性確保について規定しています。
  • レポーティング
    グリーンボンドで調達した資金の使いみちに関するレポーティング内容について規定しています。
グリーンボンド原則(GBP)の詳細については、「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」のWEBサイトをご覧ください。
(参考資料:グリーンボンド発行促進プラットフォーム「グリーンボンド原則(GBP)」)

グリーンボンドの種類について

次に、グリーンボンドの種類について解説します。
どれも「グリーンプロジェクト(環境改善事業)に必要な資金を調達するために発行する債券」であることに変わりはありませんが、償還方法に違いがあります。

標準的なグリーンボンド(Green Use of Proceeds Bond)

「標準的なグリーンボンド」は、特定の財源によらず、発行体全体の現金や現金同等物などのキャッシュフローを原資として償還を行う債券です。

グリーンレベニュー債(Green Use of Proceeds Revenue Bond)

グリーンレベニュー債は、外部団体が行うグリーンプロジェクト(排水処理事業や廃棄物処理事業など)に必要な施設の設備や運営などを資金の使いみちとして、その事業の収益のみを原資として償還を行う債券です。

グリーンプロジェクト債(Green Use of Proceeds Project Bond)

グリーンプロジェクト債は、単一または複数のグリーンプロジェクト(再生可能エネルギー発電事業や省エネルギー事業など)の設備や運営などを資金の使いみちとして、その事業の収益のみを原資として償還を行う債券です。

グリーン証券化債(Green Use of Proceeds Securitized Bond)

グリーン証券化債は、グリーンプロジェクトに係る通常複数の資産(ソーラーパネル、省エネ性能の高い機器など)を担保として、それらの資産から発生するキャッシュフローを原資として償還を行う債券です。

(参考資料:環境省「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」)

グリーンボンドを発行するメリット・デメリット

グリーンボンド

ここでは、グリーンボンドを発行する側のメリットとデメリットを紹介していきます。

グリーンボンドを発行するメリット

グリーンボンドを発行するメリットとしては、

  • ESG投資への対策(投資家層の多様化)
  • 環境経営によるイメージアップ
が挙げられます。

近年、世界的にESG(環境・社会・企業統治)に配慮している企業への投資が盛んになってきています。
そうした観点から従来の債券とは異なるグリーンボンドを発行することで、「ESG投資に積極的な投資家」からの投資が期待できるようになります。
また、グリーンボンドを発行して環境改善事業を推進・実行することで、環境経営の実績として企業のアピール材料にもなります。

グリーンボンドを発行するデメリット

グリーンボンドを発行するデメリットとしては、

  • 調達した資金は「グリーンプロジェクト」にしか使えない
  • グリーンボンド発行のために追加コストがかかる
が挙げられます。

グリーンボンドはグリーンプロジェクト(環境改善事業)への使用のために調達する資金なので、グリーンプロジェクト以外への使用は認められません。
グリーンボンドで調達した資金の使いみちは、厳重にチェックが行われます。

また、グリーンボンドを発行するためには、先程ご紹介したグリーンボンド原則(GBP)を遵守する必要があります。
そのため、通常の債券に比べて外部評価を受けるための手数料が必要になるほか、調達した資金の分別管理や使途報告などの時間的コストも必要になります。

グリーンボンドに投資するメリットとデメリット

ここでは、グリーンボンドに投資する側のメリットとデメリットを紹介していきます。

グリーンボンドに投資するメリット

グリーンボンドに投資するメリットとしては、

  • ESG投資を行える
  • 気候変動に関する中長期的なリスクヘッジ
が挙げられます。

グリーンボンドはESG投資の手法のひとつですので、ESG投資を行いたい投資家にとっては、その需要を満たせるでしょう。
また、地球温暖化の気候変動による中長期的な財務リスクに対し、グリーンボンド投資を行うことでリスクヘッジにも繋がります。

グリーンボンドに投資するデメリット

グリーンボンドに投資するデメリットに、「グリーンウォッシュ債券」の問題が考えられます。
環境省のグリーンボンド発行促進プラットフォームでは、「グリーンウォッシュ債券」について

実際は環境改善効果がない、または、調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず、グリーンボンドと称する債券

と説明しています。

(参考資料:グリーンボンド発効促進プラットフォーム「グリーンボンドとは グリーンボンドガイドライン」より引用)

グリーンボンドの信頼性の確保のために、「グリーンボンドガイドライン」が定められていますが、
あくまで自主的なガイドラインであり、法的拘束力やガイドラインに基づく罰則はありません。

(その他の法令等に抵触する場合に、当該法令等に基づく罰則等が課される場合はあります。グリーンボンドガイドラインをご参照ください)

投資を検討するグリーンボンドが「グリーンウォッシュ債券」に該当するかどうか、投資家の目線で慎重に判断したほうがよいでしょう。

グリーンボンドの市場規模について

グリーンボンド

ここからは、国内外におけるグリーンボンドの発行額についてご紹介していきます。

国内企業等によるグリーンボンド等の発行実績

2014~2019年の、国内企業等によるグリーンボンド等の発行実績は以下の通りです。

  • 2014年:発行総額5億円/発行件数1件
  • 2015年:発行総額5億円/発行件数2件
  • 2016年:発行総額1億円/発行件数4件
  • 2017年:発行総額2,223億円/発行件数11件
  • 2018年:発行総額5,363.7億円/発行件数34件
  • 2019年:発行総額8,238.3億円/発行件数58件
(参考資料:グリーンボンド発行促進プラットフォーム「市場普及状況(国内・海外)」グラフより引用)

発行総額・発行件数ともに急成長していることが分かります。

実際の発行例としては、先ほどグリーンボンドの発行主体の項目でもご説明した通り、
2019年10月に東京都が発行したグリーンボンドでは、機関投資家36団体が投資を表明しています。東京都はこれまでに3回のグリーンボンドを発行しています。

その他にも、オリックス株式会社が2020年1月に100億円のグリーンボンドを発行し、国内のグリーンボンド市場も活発になりつつあります。

(参考資料:時事ドットコムニュース「初のグリーンボンドの発行について」

世界のグリーンボンド発行額の推移

続いて、世界のグリーンボンド発行額の推移を見ていきましょう。

  • 2014年:発行総額366億米ドル
  • 2015年:発行総額418億米ドル
  • 2016年:発行総額872億米ドル
  • 2017年:発行総額1,608億米ドル
  • 2018年:発行総額1,709億米ドル
  • 2019年:発行総額2,312億米ドル
(参考資料:グリーンボンド発行促進プラットフォーム「市場普及状況(国内・海外)」より引用)

世界におけるグリーンボンド発行額も、2014~2019年の5年間で約6倍に増えています。このことからも、グリーンボンドの市場規模は国内外問わず拡大していることがわかります。

まとめ

この記事では、「グリーンボンド」の概要や原則(ガイドライン)、種類、メリット・デメリットなどについて解説してきました。
簡単にまとめると、グリーンボンドは国内外のグリーンプロジェクト(環境改善事業)に対する資金調達を目的として、主に企業が発行する債券です。

通常の債券と異なるのは、必ず「グリーンプロジェクト」に使うことが約束されている点と、それを証明するための報告を行う必要があることです。
グリーンボンドの発行額は国内外で急速に増えていますが、債券市場全体からみれば1~2%程度に過ぎません。しかし、逆に言うとまだまだ拡大途上であり、グリーンボンドの市場規模は今後も成長していく可能性が高いでしょう。

気候変動の問題と対策とは?地球温暖化対策推進法(温対法)についても解説!

温対法対策

最近、気候変動問題(地球温暖化問題)についてのニュースを、よくテレビなどで目にしませんか?
「なんとなく深刻なのは知っているけど、自分には関係ない。」
「企業レベルや個人レベルでできることは少ない。」
なかにはこんな風に思っている方も多いかもしれませんが、実は企業や個人レベルで行えることはたくさんあります。

  • 気候変動(地球温暖化)問題の現状と課題の確認
  • 世界における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み
  • 日本における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み

この記事では、この3つに焦点を絞り分かりやすく解説していきます。

気候変動問題の現状と課題とは?

CO2排出量削減

気候変動は、広くいえば天気の状態や気温、降雨量や風など、地球上の大気の状態が変化する現象のことを指します。ただし、とりわけ環境問題に関する際に「気候変動」という言葉を使う場合は、「地球温暖化」のことを指している場合が多いでしょう。

気候変動問題=地球温暖化問題

現在、地球全体で気候の変動が問題になっているのは、この「地球温暖化」があるためです。「地球温暖化」とは、地球の平均気温が上昇することでもたらされる現象や、それによって影響をうける生活や自然環境を指します。
地球の平均気温が変化することで地球上の自然環境は大きく影響を受けます。近年、日本や世界で多発している猛暑や巨大台風・ハリケーンも、地球温暖化が原因という意見もあります。

地球温暖化がもたらすさまざまな問題・リスク

地球温暖化が進むことによって、地球環境や私たちの生活にどのような影響や変化があるのかみてみましょう。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書で、気候変動(地球温暖化)によって以下のリスクがあると指摘されています。

  • 水資源への影響(水量や水質)
  • 海水面の上昇による沿岸での高潮被害リスク
  • 大都市部への大雨などによる洪水・水没リスク
  • 異常気象(巨大台風や大雨など)によるインフラなどの機能停止
  • 陸域、淡水、海洋生物の生息域の変化など
  • 空調のない都市部などで、熱波(異常な猛暑)による死亡や疾病リスク
  • 海水温の上昇によるサンゴの死滅や、海洋生態系の損失リスク
  • 農作物への影響
  • 水資源(灌漑用水や飲用水)不足と農業生産量の減少により、農家の収益が減少するリスク
  • 気温上昇や干ばつなどによって食糧不足に陥るリスク
  • 生態系サービスの損失(森林植物や野生動物の分布の変化)による農作物への被害リスク

参考資料:環境省「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)等について」

また、1986~2005年の世界の平均気温を基準とした気温の上昇具合によって、以下の具体的なリスクも懸念されています。

  • 平均気温の上昇温度で懸念されるリスク
  • 1℃未満:異常気象の増加リスク
  • 2℃未満: サンゴ礁の死滅や北極の氷河の一部溶解、熱帯の感染症(マラリアなど)の拡大
  • 2℃:作物の生産量が局所的に減少
  • 2℃以上3℃未満:飲用水や灌漑用水に利用可能な水資源の減少
  • 3℃: 世界中の広範囲で生物の絶滅が発生する
  • 3.5℃: 北極の氷河がすべて溶け、海面水位が上昇する
  • 4℃: 地球上の多くの生物が絶滅の危機を迎える、世界中で食糧生産が困難となり食糧不足が発生する
参考資料:WWFジャパン「地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?」

地球温暖化の原因は温室効果ガス

こうした地球温暖化の原因は「温室効果ガス」といわれています。温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)やメタン、一酸化二窒素、フロンガスなどの種類があります。
なかでも、影響を及ぼしているとされるのが二酸化炭素(CO2)で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書によると、実に二酸化炭素の影響が全体の76.7%にも上っています。大気中の二酸化炭素濃度は、産業革命が起こってからというもの、石油・石炭といった化石燃料の燃焼により著しく増加しました。
その結果、現在のような地球温暖化問題として、私たち人類全体に重い課題としてのしかかっているのです。

世界における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み

CO2排出量削減

地球の気候変動(地球温暖化)問題に対して、世界の国々ではどういった対策をしているのでしょうか。
ここからは、世界における気候変動(地球温暖化)対策の取り組みについてみていきましょう。

気候変動枠組条約締約国会議(COP)

気候変動枠組条約締約国会議(COP)とは、後で紹介する「気候変動枠組条約」という国際的な温暖化防止条約に加盟する国々によって行われる国連会議です。気候変動枠組条約で合意した「大気中の温室効果ガス濃度を安定化させる」という目標の前進のために、締約国会議(COP)は毎年開催されており、2019年で25回目を迎えています。
気候変動枠組条約締約国会議(COP)は国際的な気候変動(地球温暖化)対策として重要な「京都議定書」や「パリ協定」を採択するという成果を残しており、世界の国々が一致団結して地球温暖化に対して取り組みを行ううえで非常に重要な国連会議になっています。

気候変動枠組条約(UNFCCC)

気候変動枠組条約は、「温暖化防止のため大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を究極の目的とした国際的な環境条約で、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催されたUNCED(環境と開発に関する国際連合会議)で採択され、1994年に発効されました。
正式名称を「気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」といい、英語の頭文字をとって「UNFCCC」とも呼ばれています。
現時点で197カ国が締結している気候変動枠組条約(UNFCCC)ですが、実は枠組みを規定しているだけで、具体的な温室効果ガスの削減目標までは定めていません。そういった部分を話し合うために先程も解説した締約国会議(COP)が開かれるようになり、次で解説する京都議定書やパリ協定に発展していきました。

京都議定書とパリ協定

京都議定書とパリ協定は、世界の気候変動(地球温暖化)対策の取り組みを語るうえで重要な存在といえます。

● 京都議定書

まず京都議定書ですが、先程ご紹介した気候変動枠組条約では定められていなかった温室効果ガスの削減目標
を具体的に数値化する形で、1997年に京都で開催されたCOP3において採択されました。
京都議定書の中身ですが、「2008年~2012年における二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量を、先進国全体で最低-5%を目指す(1990年比)」というものでした。この京都議定書によって、欧州連合15カ国-8%、米国-7%、日本・ハンガリー・ポーランド-6%、といった具合で国ごとに法的拘束力をもった削減目標が割り当てられることになりました。
しかしながら、当時の世界最大の排出国だったアメリカが、中国など発展途上国への排出量削減義務が課されていないことなどを理由に、京都議定書から離脱してしまいます。結果的に、192カ国の国々によって京都議定書は締結されました。

● パリ協定

パリ協定は、京都議定書をさらに進める形で締結された協定で、2015年のCOP21にて採択されました。パリ協定の最大の目的は、以下の2つです。
○ 世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して「2℃未満」に抑えること(2℃目標)。
○ さらに、世界の平均気温上昇を「1.5℃未満」に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)。
また、パリ協定では上記の「2℃目標」および「1.5℃目標」を達成するために、加盟している各国が自主的な削減目標を作成し、その削減目標の達成のために国内で対策を行うことを義務付けています。

参考までに、2030年までの各国のCO2削減目標の一部を以下に示します。
○ 中国:GDP当たりのCO2排出量を「60~65%」削減する(2005年比)。
○ EU:温室効果ガス排出量を「最低でも40%」削減する(1990年比)。
○ カナダ:温室効果ガス排出量を「30%」削減する(2005年比)。
○ オーストラリア:温室効果ガス排出量を「6~28%」削減する(2005年比)。
○ 日本:温室効果ガス排出量を「26%」削減する(2013年比)。

● 京都議定書とパリ協定の違い

先進国に対して温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書に対し、パリ協定は発展途上国も含めたすべての国が参加する枠組みとなっています。また、京都議定書には参加しなかったアメリカが、パリ協定には参加しているという点も重要な違いといえるでしょう。しかし、2016年にドナルド・トランプ大統領が就任すると、パリ協定を離脱する意向を表明し、2019年11月に正式な離脱表明を行いました。
このことからも、気候変動(地球温暖化)対策に対する世界の国々の足並みは、まだ十分にそろっているとはいえないのが現状です。

世界中で広がりを見せるSDGs(持続可能な開発目標)

上記で挙げた京都議定書やパリ協定といった国際条約とは別に、2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標として「SDGs(持続可能な開発目標)」があります。
SDGsは、多様性を大切にし「誰一人取り残さない」持続可能な社会を実現することを目的としており、17の目標と169のターゲット、232の指標が決められています。その13番目の目標には、「気候変動に具体的な対策を」として、地球温暖化に対する対策も盛り込まれています。
SDGsは、国だけでなく企業などの民間団体が主体となって取り組んでいくことも、大きな特徴の1つです。実際に、世界の環境先進国では、企業や団体が主体となってSDGsに関するさまざまな取り組みが行われています。

中国やインドなどの新興国では、地球温暖化対策として再生可能エネルギーの導入が進んでいます。株式会社資源総合システムの調査によると、2016年~2018年にかけて太陽光発電の年間導入量1位は中国です。

● 中国の太陽光発電導入量
○ 2016年:34.55GW
○ 2017年:53.07GW
○ 2018年:44GW

なお、新興国であるインドも、2017年には日本の太陽光発電の年間導入量を追い抜き、世界第3位となっています。火力発電に比べて二酸化炭素排出量が少ない太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーは、今後ますます世界中で導入が進んでいくと予想されています。

日本における気候変動(地球温暖化)対策の取り組み

CO2排出量削減

続いて、日本における気候変動(地球温暖化)対策の取り組みをみていきましょう。

COPで「化石賞」に選ばれた日本

先程ご紹介した気候変動枠組条約締約国会議(COP)に参加しているNGOネットワーク「CAN(気候変動アクション・ネットワーク)」が、地球温暖化対策に消極的とみなされた国に対し「化石賞」を贈っています。
2019年12月2日から13日にスペイン・マドリードで開かれたCOP25において、日本はこの不名誉な「化石賞」を受賞してしまいました。(化石賞はCOPの会期中、毎日選定されて発表されているため、日本以外の国も選ばれています)
受賞の理由としては、石炭火力発電を今後どうしていくのかについての言及がなかったことや、国際社会が求めている脱石炭化(再生可能エネルギーなどへの方向転換)や温室効果ガスの削減目標を引き上げる意思を示さなかったことなどが挙げられています。
こうした中、今世紀後半のできるだけ早い時期に「脱炭素社会」を実現することを目標としている日本では、さらなるイノベーションや再生可能エネルギーへの転換を進めていく必要があります。

地球温暖化対策推進法(温対法)でCO2排出量を削減

「化石賞」に選ばれてしまった日本ですが、気候変動(地球温暖化)の問題に対して何も行っていないという訳ではありません。日本で地球温暖化対策として、「地球温暖化対策推進法(通称:温対法)」という法律を作り、地球温暖化防止に取り組んでいます。(正式名称は「地球温暖化対策の推進に関する法律」)
この温対法によって「特定排出者」に認定された事業所・事業者は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を算出し、国へ報告する義務が生じます。温対法が定めた排出量の報告や虚偽の報告を行った場合、20万円以下の罰金が発生します。
温対法に則って取り決めた自社の温室効果ガス削減目標に届かない場合は、「J-クレジット」という温室効果ガスの削減量を取引する制度も設けられています。

日本企業にも自家消費型太陽光発電の導入が拡大中

地球温暖化を防止するための世界の動きは、日本にも確実に影響を与え始めています。たとえば、環境・社会・ガバナンスを重視する会社に対して積極的な投資を行う「ESG投資」は、企業にとってはビジネスを考えるうえでも重要なポイントになってきています。

またそれ以外にも、エコアクション21やISO14001など、環境へ配慮した経営が日本企業に対しても求められていることは事実です。こういった環境経営への取り組みは、大企業だけではなく中小企業にも求められており、その1つの手段として「自家消費型太陽光発電」という選択肢があります。
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自社で消費する形態の太陽光発電のことで、工場の屋根などに取り付けて発電を行い、電力会社からの電気購入量を減らす企業が増えています。こういった企業ごとの取り組みも、国がパリ協定で定めた温室効果ガスの削減目標(2013年比で26%削減)を達成するために重要な要素のひとつです。
また、それだけではなく、企業側にも電気料金の削減や、「環境経営に取り組んでいる企業」として企業イメージがアップするといったメリットもあります。

まとめ

この記事では、気候変動問題(地球温暖化問題)の現状と課題を確認するとともに、世界や日本で行われている地球温暖化対策について紹介してきました。
総括すると、気候変動(地球温暖化)は今もなお進行し続けている状態にあり、かなり深刻な状態になりつつあると世界は受け止め始めています。それに対し、各国の足並みは決してそろっているとはいえず、対策も後手になってしまっている印象を受けます。
こうした状況のなかで、今もなお化石燃料に依存している日本では、再生可能エネルギーへの大胆な方向転換が、国際的にも期待されています。
また、中国などの新興国でも、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が目覚ましい勢いで進んでおり、再生可能エネルギーが地球温暖化を防ぐ要となりつつあります。
まずは、企業活動において発生するCO2排出量削減のために「自家消費型太陽光発電」の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

企業は地球温暖化対策の責任重大!自家消費型太陽光発電で環境貢献

地球温暖化

地球温暖化は、気温上昇や高潮といったさまざまな影響をもたらす現象で、
その原因は温室効果ガスといわれています。

日本では、温室効果ガスのおよそ9割がCO2ということもあり、
CO2削減に向けた企業努力が求められています。

そこで注目されているのが太陽光発電で、
事業所や工場などに太陽光発電を取り入れる企業も増加傾向になります。

地球温暖化対策に求められる企業努力

地球温暖化とひとくちに言っても、具体的にどういった影響を及ぼすのか分からない方も多いのでは?
そこで、まずは地球温暖化が与える影響について詳しくみていきましょう。

地球温暖化によりもたらされる影響

地球温暖化による影響には、気温上昇や洪水、干ばつなどさまざまです。
仮に、世界がこのまま経済活動を続けた場合、
およそ100年後には4度前後気温が上昇すると予測されています。

参考リンク:WWFジャパン「地球温暖化についてのIPCCの予想シナリオ」)

気温上昇は食糧危機を招き、発展途上国だけでなく先進国にも大きな影響をもたらします。
近年では、氷山が溶けて海面が上昇するといった事象をよく耳にしますが、「100年後」といわれるとあまり身近に感じられない方も少なくないかと思います。

さらに、気温上昇がもたらすのはこういった災害だけではありません。
世界各地の気温が上昇すれば当然ながら生態系にも乱れが出て、熱帯地方の生物が日本に生息する可能性があります。

たとえば、マラリヤやデング熱といった危険な感染症を媒介する蚊が日本で生息できるようになった場合、これらの病気で命を落とす危険性が増えるでしょう。

また、食料自給率が低く輸入に頼りがちな日本の場合、
海外の農業大国で干ばつや洪水といった被害が出れば、影響を受けることは目に見えています。

こういったリスクを避けるため、2015年の採択されたパリ協定では、
「平均気温の上昇を産業革命から2度未満に抑えること」が目標として掲げられました。

日本の温室効果ガス排出量と削減目標

世界のCO2排出量は約330億トンといわれ、その28.3%を中国、15.8%をアメリカが占めています。
そのため、トランプ大統領のパリ協定離脱は世界に大きな波紋を広げました。

というのも、CO2の排出量が10%を超える国は中国とアメリカだけであり、この2ヶ国の協力あってこそ実現できる協定だからです。

一方、日本では約3.6%ととても少ないように感じられますが、順位で数えると5位。
カナダや韓国では2%を切るなど、CO2削減に向けた努力が数字で表れています。

こういった背景から、日本では2030年までに2013年比で26%削減が目標とされ、
森林によるCO2の吸収や新エネルギー対策の推進などが決定されました。

しかし、日本で大きなネックとなったのは、原子力発電です。

東日本大震災以降、原子力発電所の廃炉が検討または決定され、
CO2の排出量が多い火力発電の稼働率が上昇しました。
この状況が続くと、温室効果ガスを増やすだけでなく、燃料費や資源の問題も懸念されます。

そこで注目されているのが、太陽光発電や風力発電といった、
発電時に温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーによる発電方法です。

企業に求められる取り組みとは?

企業の取り組みイメージ

日本国内では、CO2排出量のおよそ8割が企業・公共施設から排出されています。 そのため、企業が積極的にCO2削減に向けた取り組みを行うことが重要です。

まず重要なのが、ライフサイクル全体に通じるCO2削減方法を検討すること。
たとえば、自社が製造業の場合、工場での生産・加工過程などを見直すだけでなく、
流通や仕入れといった関連のある範囲でもCO2排出量削減に注力することが重要です。

たとえば、ソフトバンク株式会社では「COOL CHOICE※1」に賛同し、
富士通では自らの事業活動における環境負荷低減だけでなく、サプライチェーンにおけるCO2削減も推進しています。

※1:環境庁が推進している、2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減するという目標達成のため、省エネ・低炭素型の製品への買換・サービスの利用・ライフスタイルの選択など、地球温暖化対策に資する「賢い選択」をしていこうという取組のこと。

これらを実践するには、まずは自社の事業範囲内から始め、徐々に関連する範囲へ広げていくという考えが必要です。
それには、長期的なビジョンを持つことはもちろん、省エネ目標を明確にすることが必要です。

太陽光発電の自家消費によるCO2削減効果

太陽光発電

CO2削減のため、火力発電と比較してCO2の排出が少ない太陽光発電といった再生可能エネルギーが注目されています。

たとえば、すべての発電を火力でまかなう場合のCO2排出量は6.87億トンと想定されます。
これを、火力発電だけでなく原子力、水力、火力、太陽光発電などを組み合わせると、およそ3.55億トンも減らすことができるのです。

つまり、メガソーラーや家庭からの余剰電力買取などにより
再生可能エネルギーの普及が広がれば、それだけCO2削減も可能となります。

太陽光発電の自家消費によるCO2削減量

太陽光発電の場合、パネルの種類によっても多少の差がありますが、CO2削減量は結晶シリコン型の場合で「533.59g-CO2/kWh」とされています。

たとえば、年間発電量10kWの太陽光発電システムの場合、年間約10,000kWhの発電量が期待でき、
年間のCO2削減量は10,000 kWh×533.59g-CO2/kWh=5,335,000 g-CO2(約5t -CO2)となります。

これを石油の消費削減量で換算すると、約2,270リットル。
メガソーラーや工場の屋根などを利用する場合には、これ以上の効果が期待できるため、
CO2削減にも大きく貢献できるというわけです。

また、太陽光発電の自家消費によって得られるメリットは、CO2排出量削減だけではありません
工場やオフィスの電力に回せることはもちろん、災害時の予備電力や売電など、さまざまな用途が検討できます。

企業のイメージアップとして、一般から見てもわかりやすく、示しやすい施策のひとつに取り入れることも可能ですので、
太陽光発電の自家消費の導入は、環境に貢献しながらさまざまなメリットが享受できるのです。

太陽光発電の自家消費でCO2削減に貢献を

太陽光発電の自家消費は企業が行える地球温暖化対策のひとつであり、CO2削減に大きく貢献できます。
もちろん、環境のためだけでなく、節電によるコストカットや企業のイメージアップといったメリットも大きく、決して無駄にはならない投資といえるでしょう。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

エコアクション21とは?認証取得の費用やメリット

エコアクション21

エコアクション21はご存知でしょうか?
この記事では、中小企業でも「環境経営」のPRが可能となるエコアクション21の
概要やメリット、認証取得方法、具体的な事例についてご紹介します。
また、自家消費型の太陽光発電設備の設置がエコアクション21の取り組みに繋がることも解説していきます。

エコアクション21とは?

エコアクション21

エコアクション21とは、2004年に環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)で、
深刻化している地球温暖化などの環境問題に対処するため、
組織・事業者が自主的に環境への取り組みを行うガイドを定めたものです。

参考資料:一般財団法人 持続性推進機構「エコアクション21とは

エコアクション21のガイドラインは、環境マネジメントシステムに関する国際規格「ISO14001」を基に、
主に日本の中小企業に向けて作られています。そして、企業が二酸化炭素の削減や節水など環境に優しい取り組みを行っているかどうかを審査し、
基準をクリアした企業を「エコアクション21認証・登録」し、企業の環境配慮を推進しています。

エコアクション21の認証を取得するメリット

ここでは、エコアクション21の認証を取得するメリットについて解説していきます。

中小企業でも「環境経営」をしていると認められる

企業の「環境経営」を証明するものとしては、国際規格の「ISO14001」のほうが認知度は高いですが、
認証を受けるためのハードルも高いため取得が難しいという問題があります。一方、エコアクション21は、ハードルの高い「ISO14001」が基になってはいるものの、
「ISO14001」と比べると認証条件が低いため、取得が容易なのが特徴です。
中小企業にとって認証ハードルの高い「ISO14001」を目指さなくても、
エコアクション21の認証を取得することで、環境経営を行っていると対外的にアピールしやすくなります。

経費削減や生産性の向上に繋がる

エコアクション21の認証を受けるためには、改善・向上の実施体制の構築が必要になります。
具体的にはまず、エコアクション21に力を入れて取り組む「枠組みと目標」をつくり、
その後、PDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))を繰り返して、
継続的な改善を目指す、という流れになります。
エコアクション21の認証を得るための具体的な取り組み例を挙げると、
「工場の製造過程で排出される廃棄物を削減します」
「製品に使用しているプラスチックを◯%減らします」
といった取り組み内容を定め、改善を実施・検証していきます。
エコアクション21の認証取得を目標に、こうしたPDCAサイクルを回すことで、
これまで見えていなかった作業工程の無駄を発見したり、
電気代などの経費削減や生産性の向上に繋げたりすることが出来ます。

低金利の融資を受けられる

一部の金融機関では、エコアクション21の認証を受けている事業者に対して
通常より低金利の融資サービスやプランを用意しています。
具体的には、以下のような金融機関が挙げられます。

(記載内容は掲載当時の情報になります)

また、これらのような大手銀行に限らず、多くの地方銀行でも
エコアクション21の認証事業者を対象とした低金利の融資サービスが用意されています。

大手企業とのビジネスチャンスの拡大

近年、大手企業では、取引先選定の基準として、「環境への取り組みや環境経営の体制」などを条件にしていることもあります。

ですから中小企業においては、エコアクション21の認証を取得することで、
大手企業とのビジネスチャンスを得られる可能性があります。

その他にも、エコアクション21の認証を取得していることによって、
入札型の公共工事等における参加資格審査で加点されたり、
自治会からの補助を受けたりできる場合もあるというメリットもあります。

社会的な信頼を獲得できる

このメリットは、上記で紹介した「大手企業とのビジネスチャンスの拡大」にも通じますが、
エコアクション21の認証を取得することで、取引先の企業やお客様から
より大きな信頼を得ることができます。

環境問題への意識が世界的に高まっている今だからこそ、
エコアクション21による環境経営は、社会的な信頼を得る大きなチャンスになります。

エコアクション21の認証取得方法

エコアクション21

ここでは、エコアクション21の認証を取得する方法や期間、費用について解説していきます。

認証取得までの流れ

エコアクション21の認証は、以下の流れで行われます。

  1. 審査の申込み ※1
  2. 担当審査員の通知
  3. 必要書類の送付
  4. 審査(書類審査・現地審査)の実施
  5. 審査員から地域事務局へ審査結果を報告
  6. 地域事務局から中央事務局へ判定結果を報告
  7. 事業者へ判定結果を通知
  8. 認証・登録契約の締結/認証・登録料の納付
  9. 認証・登録証の送付/ロゴマークの使用承認

※1 審査申込書は、エコアクション21 WEBサイトからダウンロードし、最寄りの地域事務局宛に郵送。

(参考資料:一般財団法人 持続性推進機構「エコアクション21 認証登録までの流れ」より引用)

なお、エコアクション21の申請から認証を得るまでにかかる期間は、
初回の現地調査等を含めると、2~3ヶ月程度といわれています。
さらに、申請の段階で、具体的なエコアクションの取り組みを3ヶ月~半年以上運用し、
その結果を集計・整理した「環境活動レポート」が必要になるため、
今から認証取得に向けて動き始める場合には、取り組みの決定なども含めると
1年がかりのプロジェクトとして考えるのが良さそうです。

認証にかかる費用

エコアクション21の認証に必要な費用は、審査費用と認証・登録費用の2種類があります。

 審査費用は、審査人1人1日あたり50,000円(税別)を基準に変動 

まず審査費用ですが、審査人1人1日あたり50,000円(税別)が基準になっており、
審査を受ける会社の従業員数(30人以下、31~60人以下、61~100人以下、101~500人以下、501人以上)によって審査に必要な日数・審査人数が定められ、それが審査費用となります。

また、審査の実施については、登録申請時だけではなく、

 初回の中間審査(認証から約1年後) 
 更新審査(認証から約2年後) 
 2回目以降の中間審査(更新審査から約1年後) 

のように複数回実施され、それぞれの実施の際にも費用が発生します。(登録申請時とは費用が異なる場合もあります)

 認証・登録料+更新登録料(2年分) 

さらに、認証を得るためには、審査費用の他に、認証・登録料と更新登録料(2年分)が必要となります。
また、認証・登録料と更新登録料(2年分)は、会社の従業員数によって異なります。
以下は、従業員数ごとの認証・登録料+更新登録料(2年分)です。

 従業員10人以下:50,000円(税別) 
 従業員11人~300人以下:100,000円(税別) 
 従業員301人~500人以下:150,000円(税別) 
 従業員501人~1,000人以下:200,000円(税別) 
 従業員1,001人以上:300,000円(税別) 
※従業員数には、正規職員だけでなく、パート・アルバイト等の従業員も含まれます。また、常勤の役員も含まれます。
※複数枚の認証・登録証を希望する場合は、2枚目以降、1枚に付き3,000円(税別)の費用が別途必要です。
※認証・登録期間中に事業の縮小、組織の改編、合併等により従業員数が変化した場合は、再度認証・登録契約を締結し、差額分の料金を支払う必要があります。

費用の詳細については、エコアクション21のWEBサイトをご確認ください。

エコアクション21の具体的な事例

ここでは、エコアクション21の認証を取得された具体的な企業事例として、
エコアクション21のサイトでは、
「サッポロビール株式会社」様のケースが紹介されています。

「サッポロビール株式会社」様では、「広告品作成の適正化による廃棄物の削減」といった
具体的な結果が報告されています。

広告品の発注を営業担当者の感覚で進めていたところを、
業務レベルで分析し適正発注を心がけることで、余剰品を大幅に削減できたという事例です。

サッポロビール株式会社様以外にも、エコアクション21に取り組んで
成果を出している企業は多く存在しています。

自家消費型 太陽光発電でエコアクション21に取り組もう

エコアクション21を推進する企業

(写真:エコアクション21を推進する企業 長野県 株式会社長野サンコー様)

ここまで読んで、「エコアクション21の認証に向けて取り組んでいきたいけれど、
自社では具体的にどのように取り組んでいこうか」と感じられている方もいらっしゃるかと思います。

実は自家消費型太陽光発電も、エコアクション21の取り組みとして認められています。

太陽光発電は火力発電と比較してCO2の排出が少ない再生可能エネルギーのひとつですし、
工場の屋根などに太陽光発電設備を設置して、作った電力を自家消費することで
化石燃料に由来する電力会社からの電力購入量を減らすことができるため、
環境配慮の取り組みとして扱うことが可能となります。

さらに、電力購入量を減らすことが出来るだけでなく、優遇税制などの制度があるほか、
余った電気は売電することで収入に繋げることも出来ます。
多くのメリットがあるエコアクション21の認証に向けて、
コスト削減効果もある自家消費型太陽光発電の設置から始めてみるのはいかがでしょうか。

RE100とは? 内容や加盟方法、日本企業の現状など

「RE100」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
アップルやネスレなど世界の名だたる企業が加盟しているこの取り組みは、
環境対策を進める上で非常に注目を集めています。
今回は、「RE100」とはどのようなもので、日本の取り組み状況はどうなっているのかについて見ていきたいと思います。

RE100とは?

2050年までに事業運営を100%再生可能エネルギーで行う目標

RE100とは「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって定められたもので、
事業運営を2050年までに100%再生可能エネルギーで行うことを目標にしています。

このRE100の取り組みは、国際環境NGOの「The Climate Group」が2014年に開始したものです。
この団体は英国ロンドンで設立されてからまだ4年しか経過していませんが、
2018年9月10日現在、全世界で144社が加盟しています。

アップルやネスレの他、BMWなど世界の名だたる企業が加盟しており、
環境に配慮した企業であることから、CSRへ取り組んでいる企業として社会的評価も高まっています。

(参考資料:RE100「Companies」)

RE100に加盟する企業は、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」と宣言することが求められます。
ここでいう「再生可能エネルギー」とは、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス等を指します。

また、国際NGOのCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)を通じて毎年進捗を報告しなければならず、加盟だけしておくということはできません。
計画的に取り組む必要があります。それでも、RE100に加盟する企業は毎年増加し続けています。

もちろん、事業運営を100%再生可能エネルギーで行うということは、容易なことではありません。
しかし、二酸化炭素の排出量を削減し、低炭素社会を実現するためには、
自ら宣言し実行に移していくことが必要です。

だからこそ、環境意識の高い企業は困難だとわかっていてもそれを真剣に実現しようとしているのだと考えられます。

RE100に加盟する条件

RE100に加盟するためには、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」と宣言するだけでなく、
実際に再生可能エネルギーを使って事業を行っていかなければなりません。

再生可能エネルギーを調達する方法には、大きく分けて3つの方法があります。

再生可能エネルギーを自ら発電する

自社の敷地や屋根などを利用して太陽光発電を行うなど、
自社で再生可能エネルギー発電を行い、その発電された電力を使用するというものです。

再生可能エネルギーを購入する

自ら太陽光発電を行うことが難しい場合、再生可能エネルギー電力を購入するという方法もあります。
具体的には、再生可能エネルギー発電所と電力購入契約を締結し供給してもらうというものです。
海外の企業の多くはこの方法を採用しています。

グリーン電力証書を購入する

グリーン電力証書とは、風力・太陽光などの再生可能エネルギーによって発電された
グリーン電力の環境に対する付加価値を証書の形にしたものです。
このグリーン電力証書を購入することで、再生可能エネルギーの使用と認められます。

この他、RE100加盟企業は、毎年報告書を提出しなければなりません。
これは、宣言だけで実際に再生可能エネルギーの利用をしないということがないように、
報告を義務付けているものと考えられます。

事業電力を100%再生可能エネルギーにすることは容易ではなく、
実現するためには、進捗管理が欠かせません。

報告書の内容は、第三者の監査を受けなければならず、
RE100の年次報告書やホームページで公開されるので、嘘をつくことはできない仕組みになっています。

業界別にRE100の加入社数をみると、以下のとおり金融、食品・消費財、製造業が多く、
逆に、医薬品、アパレル、ロジスティクスは少ないことがわかります。

  • 金融 33社
  • 食品・消費財 22社
  • 製造業 21社
  • IT 19社
  • 建設・不動産 10社
  • 通信・メディア 9社
  • 小売 7社
  • ロジスティクス 6社
  • アパレル 5社
  • 医薬品 4社
  • その他 8社

国別でみると、米国が50社と最も多く、次いで英国が28社、3番目が日本で11社、4番目がスイスとオランダで8社となっています。
インドが4社、中国が2社、台湾が1社加盟していますが、欧米諸国に比べるとアジアはまだまだ低い加盟数になっています。
このように、幅広い業界や国でRE100への参加が広っています。

日本の現状

日本もようやく「どんな電気を調達するか」を選ぶ時代へ

日本では、これまで東京であれば「東京電力」、東北であれば「東北電力」というように
該当エリアの電力事業者から電力を購入するのが一般的でした。
そのため、電力に対する環境問題は、もっぱら電力事業者の問題と捉えられてきました。

また、電力事業は規制が多いことから、国の政策によって大きな影響を受けます。
これらの状況から日本において100%再生可能エネルギーでの事業運営を実現することは
不可能と思われていました。

しかし、2016年4月1日から日本国内でも電力小売事業が全面自由化されたので、
どのような電力会社から電力を買うのか選べるようになりました。

安定的な電力供給を受けるため既存の電力事業者との契約を直ちに見直すことは難しいかもしれませんが、
自家発電の比率を増やし、再生可能エネルギーでの発電が多い事業者から購入するなど、
その比率を増やしていくことが可能になりつつあります。

環境省も賛同し、積極的に推進

環境省も、エネルギーを使う企業みずから積極的に
再生可能エネルギーへの取り組みをするRE100への加盟は再生可能エネルギーの推進に非常に有効であると認識しており、同取り組みに賛同しています。

具体的には、環境省の庁舎・施設の電力消費における再エネ比率を向上するための具体的方法を検討し、
外務省をはじめ、関係省庁や関係者と連携しつつ、
日本全体で再生可能エネルギーの導入拡大が進むよう、施策に取り組むとしています。

日本のRE100加盟企業

なお、世界でRE100に加盟している企業は144社でうち日本企業は、以下の11社になります。

  • ソニー
  • リコー
  • 富士通
  • エンビプロ・ホールディングス
  • イオン
  • 丸井グループ
  • 城南信用金庫
  • 積水ハウス
  • 大和ハウス工業
  • アスクル
  • ワタミ

米国、英国に続いて加盟数が3番目に多い日本ですが、100%再生可能エネルギーとすることは、現実的には難しいのが現状です。

というのも、日本には再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度(FIT制度)がありますが、
この買い取られた電気はRE100では、再生可能エネルギーとして認められていないからです。(2018年9月現在)

そのため、日本企業がRE100で認められる再生可能エネルギーを調達する方法は、
現状では2つしかありません。

日本での再生可能エネルギーの調達方法

1つ目は、自社で太陽光発電などの再生可能エネルギー発電所を設置して自家消費すること、
2つ目は、「Jクレジット」をはじめとする自然エネルギーでの発電による
電気の「環境付加価値」を購入することです。

電気の「環境付加価値」を購入する方法

日本で手に入る電気の「環境付加価値」としては、先に述べた「J-クレジット」、「グリーン電力証書」、そして、2018年5月からはじまった「非化石証書」があります。
「J-クレジット」、「グリーン電力証書」を購入した場合、当該電力量について再生可能エネルギーとして認められますが「非化石証書」については現時点ではRE100に再生可能エネルギーとして認められていません。

まとめ

現在、世界的な潮流ではCSR対策として環境などへの取り組みをしていない企業に対しては、
投資が積極的に行われない傾向があります。
また、スポンサーとしての入札基準として、環境対策が行われていることが求められたりもします。
そのような中で、RE100に加盟することは対外的に大きなアピールとなります。
再生可能エネルギー100%を実現することは容易ではありませんが、
企業価値を高めるためにもRE100への加盟について検討してみてはいかがでしょうか。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

ゴールデンウィーク休業のご案内

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
ゴールデンウィーク期間中の休業日に関しまして、ご案内させていただきます。

誠に勝手ながら、弊社では下記期間をゴールデンウィーク休業とさせていただきます。お客様にはご不便をお掛けいたしますが、予めご了承いただきますよう宜しくお願いいたします。

 ゴールデンウィーク休業期間 2020年5月2日(土)~2020年5月6日(水) 

ゴールデンウィーク休業中にお寄せ頂いたお問い合わせやお申し込みに関しましては、 5月7日(木) より順次対応させていただきます。

今後とも株式会社エコスタイルを宜しくお願い申し上げます。

環境ビジネスオンライン~エコスタイル、非FIT太陽光発電の普及で子供たちの未来にエコ電力~

シリーズ「新市場を切り拓く」第34回。家庭用から産業用、メガソーラーまで、あらゆる太陽光発電システムを開発施工してきたエコスタイル。2020年3月末までで、開発施工実績は1万1000件超、500MWとなる。その実績から蓄積したノウハウを活かし、現在力を入れるのが、オンサイト及びオフサイトの自家消費型太陽光発電システム。経済性と環境性を両立する、エコスタイルの太陽光発電システムに注目したい。

環境ビジネスオンライン 2020年4月20日(月)

環境ビジネスオンライン

詳細はこちら https://www.kankyo-business.jp/column/024766.php(環境ビジネスオンラインHP)