EPCとは?太陽光発電設置時にEPC事業者を選ぶポイントや事例も紹介

設計・調達・建設を意味する「EPC」についてご存知でしょうか。

「太陽光発電について調べているとEPCという用語をよく見るけど、意味がよくわからない」

と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

EPCは「設計・調達・建設」を意味します。

太陽光発電設備の導入の際は、EPCを一社で担えるEPC事業者に依頼することでメリットがある場合があります。

この記事では「EPC」について、

  • EPCの概要
  • EPC事業者に法人向け太陽光発電の設置を依頼するメリット
  • EPC事業者を選ぶポイント
  • エコスタイルがEPCを担当した自家消費型太陽光発電の事例

などを解説していきます。

EPCとは?設計・調達・建設を一貫してマネジメント

太陽光発電EPC

はじめに、EPCの概要について解説していきます。

EPCとは、E=設計(Engineering)、P=調達(Procurement)、C=建設(Construction)の頭文字をとった略称です。

工場や太陽光発電所などの設計・調達・建設を一貫した形で請け負う契約を指します。

設計・調達・建設の具体的な中身については、以下で解説していきます。

E=設計(Engineering)

「設計」は、依頼主のコンセプトや要望を基に、基本設計や企画、詳細設計などを立案していく工程となります。

基本設計の段階では、主に機能要件やプロセス設計などをまとめ、詳細設計では必要な設備や運転操作、保守・安全性などをまとめていくのが一般的です。

工場や倉庫などの法人施設の屋根に自家消費型の太陽光発電設備を設置する場合は、設置予定の施設の強度計算や設置する太陽光発電設備の設定・発電量シミュレーションなどが該当します。

P=調達(Procurement)

「調達」は、依頼主の要望や予算にあわせて、必要な設備や資材(ソーラーパネルやパワーコンディショナーなど)を選定・発注し、太陽光発電設備の建設予定場所に搬入する工程です。

C=建設(Construction)

「建設」は、実際に太陽光発電設備の建設・施工を意味します。

EPC事業者は施工の現場と工事スケジュールを管理し、太陽光発電設備を建設・施工します。

法人施設に設置する自家消費型太陽光発電の場合、施設の運営・稼働に影響がないように施工を進める必要があります。

大量の資材の納入場所や、納入業者・施工担当者の動線を考慮して、EPC事業者は太陽光発電設備を施工します。

EPC契約とは?

EPC契約とは、上記の設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)を含んだ建設工事の請負契約を指します。

EPC契約を結んで工事を請け負ったEPC事業者は、設計・調達・建設をおこない、太陽光発電所を発電できる状態で施主に引き渡します。

EPC事業者に法人向け太陽光発電の設置を依頼するメリット

ここでは、EPC事業者に法人向け太陽光発電の設置を依頼するメリットについてご紹介していきます。

なお、法人向け太陽光発電とは、自社工場や自社ビルでの使用を前提とした自家消費型太陽光発電と、売電収入を目的とした全量売電の産業用太陽光発電の2種類があります。この記事では、自家消費型太陽光発電を前提としてお話を進めていきます。

設置する施設の条件に応じた提案を受けやすいのがメリット

EPC契約で自家消費型太陽光発電を設置するメリットとして、設置条件にあわせて最適なプランニングの提案が期待できる点が挙げられます。

たとえば、施設の稼働時間・年間スケジュールの観点から、自家消費型太陽光発電設備の設置工事が可能な時期や日数が限られている場合もあります。

EPC契約を結んで法人向け太陽光発電の設置を依頼した場合、契約を結んだEPC事業者が設計・調達・建設の工程をマネジメントし、工程の一部を下請業者に任せる場合でも、元請けとなるEPC事業者が工程を管理します。

そのため、設置する施設の稼働条件やスケジュールに合わせた提案や施工が期待できます。

自家消費型太陽光発電設置のEPC事業者を選定するポイント

ここでは、EPC事業者を選ぶポイントについて解説していきます。

法人向け太陽光発電(自家消費型)の施工実績があるか

発電した電力を自家消費することを想定している場合、依頼を検討しているEPC事業者に、自家消費型太陽光発電設備の施工実績があるかどうかを確認しましょう。

自家消費型太陽光発電は、投資目的(固定価格買取制度を活用した売電目的)の太陽光発電と比較すると、設計や施工に求められる技術が異なります。

たとえば、自家消費型太陽光発電を設置する際は、「逆潮流」と呼ばれる現象を避ける必要があります。

逆潮流とは、自家発電設備で発電した電力が、送電事業者(電力会社など)の送配電網に、流れ込む状態を指します。

逆潮流は電力系統(送電・配電などのシステム)に予期せぬ負荷を与えるリスクがあり、電力会社との契約上避けなければいけません。

逆潮流のリスクを説明した画像

自家消費型太陽光発電は、施設の屋根や敷地内に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を施設内で消費する設置形態です。発電した電力で足りない分は、電力会社から購入することとなります。

しかし、何らかの理由で、太陽光発電設備で発電している電力量が施設の消費電力量を上回ってしまうと、前述の「逆潮流」が発生してしまいます。

自家消費型の太陽光発電システムには、逆潮流を防止する制御システムが組み込まれる場合が一般的ですが、この制御システムによって発電効率が変動する場合があります。

したがって、「単純に太陽光発電モジュールをたくさん敷き詰めて、たくさん発電すれば良い」というわけではありません。

施設の消費電力を踏まえて適切な枚数を算出し、全体のシステムを設計することが求められます。

強度計算や発電シミュレーションなどを示せるか

自家消費型太陽光発電の場合、施設の屋根に太陽光発電を設置するケースが多くなります。

したがって、設置を検討する建物の強度計算が必要となります。

建物(屋根)に太陽光発電システムを搭載するだけの強度があるか、また、設置後に強風が吹いても耐えられるかなどを、EPC事業者にチェックしてもらいましょう。

また、発電シミュレーションによって予想される発電量を示してもらい、建物の消費電力をどの程度カバーできるのか確認することも重要です。

これらのデータをスムーズに示せるEPC事業者を選ぶのが良いでしょう。

費用の詳細な内訳・見積もりを提示できるか

また、EPC事業者を選ぶときには、費用の詳細な内訳・見積もりを提示できるかどうかも重要です。

また、契約当初の見積書の金額が安価であっても、予期せぬトラブルによって追加の費用が発生する場合があります。

リスクを事前に説明し、追加請求が発生するケースを想定しているかどうか。

また双方にとって想定外のトラブル・追加請求が発生する場合も、問題の適切な解決策を提案できる信頼できる業者かどうかを、検討したほうがよいでしょう。

補助金等の適切な案内をしているか

自家消費型太陽光発電システムの導入時に、国や自治体からの補助金を活用できる場合があります。

補助金の活用することで、設置費用を抑え投資回収年数の短縮が期待できます。

設置を検討する法人の立場で、利用が検討できる補助金を案内し、申請にともなう事務手続きのサポートできる事業者が理想となります。

O&M(保守・管理)を含んだ提案があるか。

O&Mとは、太陽光発電における運転管理・保守管理(メンテナンス)のことを指します。

自家消費型太陽光発電は、改正FIT法や電気事業法によってメンテナンスが義務付けられており、違反すれば罰則もあります。

そのため、自家消費型太陽光発電の設置をEPC事業者に依頼するときは、設置後のO&Mを見据えた提案ができる業者を選定しましょう

エコスタイルによるEPC契約での自家消費型太陽光発電の設置事例

ここでは、株式会社エコスタイルによるEPC契約での設置事例をご紹介します。

スーパーマーケットへの太陽光発電の設置

株式会社カノーに設置した太陽光発電の事例

2020年6月、エコスタイルが関西電力からEPC契約を請け負う形で、大阪市内のスーパーマーケットに「自家消費型太陽光発電システム160.80kW/蓄電池62kWh」を設置しました。

このEPCによる自家消費型太陽光発電および蓄電池の設置によって、発電した電気を同店舗内で使用して電気代を削減できるだけでなく、年間CO2排出量の削減効果や、BCP(事業継続計画)における非常時(自然災害による停電など)の対策としても有効性が期待できます。

こちらの事例について詳しくは、以下のプレスリリース(pdf)をご覧ください。

エコスタイルが EPC
を手掛ける「太陽光発電オンサイトサービス」カノ―のスーパーマーケット店舗に導入決定~関西電力の太陽光発電×蓄電池を活用した実証実験に協働~

まとめ

設計・調達・建設を一貫して請け負うEPC契約は、工程ごとの連携がスムーズに行われることが期待できます。

特に法人が自家消費型太陽光発電設備を導入する場合、EPC事業者に依頼することで、施設の電力使用状況や稼働状況に応じて、最適な提案を受けられる場合があります。

株式会社エコスタイルでは、実際に多くの法人様に自家消費型太陽光発電を設置した実績があります。

お客様の施設の電力使用状況や、施設の立地、太陽光発電に期待されている効果をヒアリングさせていただき、最適な導入プランをご提案させていただきます。

発電予測による投資回収年数シミュレーションや、設置予定施設の強度計算もあわせてご提案しております。

まずはお気軽にお問い合わせください。

自家消費型太陽光発電にメンテナンスは必須。重要性と点検項目を解説

自家消費型太陽光発電

工場や倉庫の屋根に自家消費型太陽光発電システムを設置して自家発電を行った電気を使うことで、電気を買う費用を抑えたり、あるいはライフラインが緊急時に使えない場合でも電気を確保できる手段として利用したりする企業が増えています。
では、太陽光発電システムを設置した後のメンテナンスは必要なのでしょうか。また、設置後のメンテナンスのやりかたによっては、設備の寿命が延びたり、発電量が影響したりするのでしょうか。
今回は、自家消費型太陽光発電システムのメンテナンスの必要性と、メンテナンスをするにはどうするのかについて考えてみましょう。

太陽光発電はメンテナンスフリーではない

売電目的の太陽光発電システムでは、2017年4月から施行された「改正FIT法」によりメンテナンスが義務化されました。
また、一般社団法人日本電機工業会と一般社団法人太陽光発電協会により作成された「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(第二版)が公開(2019年)されています。

「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(第二版)によると、まず、太陽光発電システムは発電設備であり、設置・管理する責任者は発電設備の所有者であることを明記しています。
さらに、発電設備の所有者は電気事業法第39条または第56条に基づいて、所有する発電設備を、経済産業省令で定める技術基準に適合させる義務があるとしています。
そのため、技術基準に適合しない状態にならないように、維持しておく必要があるのです。
また、工場などの屋根に設置する自家消費型太陽光発電の場合、出力50kW以上の場合は電気事業法上の「事業用(自家用)電気工作物」となり、下記のような義務が発生します。

(1)経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務。(法第39条)
(2)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めて届け出る義務。(法第42条)
(3)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務。(法第43条)
(その太陽電池発電設備が高圧以下で連系する出力2,000kW未満の場合は、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て自家用電気工作物に関する保安管理業務を外部に委託することもできます。)
(4)その太陽電池発電設備が出力2,000kW以上の場合は、設置工事の30日前までに工事計画届出書を届け出る義務。(法第48条)
(5)その太陽電池発電設備が出力500kW以上2,000kW未満の場合は、使用の開始前に技術基準に適合することを自ら確認し、その結果を届け出る義務。(法第51条の2)

引用元:経済産業省「産業保安規制の業務内容>電力の安全>太陽電池発電設備」より

太陽光発電システムの定期的なメンテナンスは、条例や法律による義務であるのみならず下記のような観点からも重要であると考えられます。

定期的なメンテナンスが重要な理由

ではなぜ、太陽光発電システムの定期的なメンテナンスが必要でそれが重要であるのかを項目ごとに確認しましょう。

保守点検が義務化されている

上記に示したように、電気事業法第39条または第56条に基づいて、所有する発電設備を、経済産業省令で定める技術基準に適合される義務があります。
よって、それに適合させるために保守点検しなくてはなりません。
もし必要な補修をしないまま稼働を続けていると、「技術基準適合命令」により、経済産業省や地域の産業保安監督部の公開する情報サイトなどで公表される場合があります。
また、太陽光発電システムの状態が悪いと判断されると、稼働の停止を命じられることもあります。

発電効率を維持する

太陽光発電システムは、定期的なメンテナンスによって発電量の維持が期待できます。
太陽光発電システムに使用されている太陽光パネルは屋外で風雨にさらされているため、汚れが付着します。
また、飛来物がパネルを覆う場合や、鳥や小動物のフンで汚れることがあります。
トラブルを確認し、解決するためにも定期的なメンテナンスを心がける必要があります。

ソーラーパネルの劣化を確認し、良好な状態を維持する

ソーラーパネルや必要な電線は屋外に設置されているため、経年および風雪による劣化が進みます。
また、ソーラーパネル自体が破損するばかりでなく、設備を固定している部品の緩みや腐食などがおこる場合があります。
固定部品がひとつ欠落しているだけでも、長期使用の間に設備全体の歪み、土台の破損、やがてソーラーパネルの破損へと結びつく可能性があります。
安全性の面からも、発電効率の面からも定期的な確認と補修が必要です。

自家消費型太陽光発電の定期メンテナンスのチェック項目・チェック頻度

では、定期的なメンテナンスでは何をどのくらいの頻度で確認することが必要なのでしょうか。
一般社団法人日本電機工業会、および一般社団法人太陽光発電協会によって定められた「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(以下 保守点検ガイドライン)には、工場の屋根屋上に設置した「屋根設置」の太陽光発電システムの、定期点検の例が記載されています。

参考資料:太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン

工場などで高圧受電する太陽光発電は事業用(自家用)電気工作物。電気主任技術者の管理が必要

前提として、工場などの高圧受電する施設に太陽光発電システムの場合、
電気事業法における「事業用(自家用)電気工作物」になること、および電気主任技術者による管理が必要となります。

注記 1 工場など高圧・特別高圧で受電契約をしている構内にPV システムを設置した場合、発電規模に関係なく、事業用(自家用)電気工作物として扱う必要がある。
注記 2 事業用(自家用)電気工作物は,保安規程を定めて電気主任技術者が管理する義務があり、この附属書に掲げる点検項目と要領は保安規程における点検項目と点検頻度の一例である。

参考:太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」p45より引用

よって、電気主任技術者を選任の上、保安規定を定めて届け出る義務が発生します。

自家消費型太陽光発電(高圧受電・および発電量50kW以上)の主な点検項目

高圧受電する施設、および発電量が50kW以上の事業用(自家用)電気工作物の場合、定期点検の内容を定めた保安規定を作成・届け出る義務が生じます。
太陽光発電システム保守点検ガイドライン」のp59には、届け出に必要な点検項目と点検周期の目安が掲載されています。ここではその中から一部項目をご紹介いたします。

点検対象・点検箇所 点検項目 点検周期
太陽光電池アレイ(太陽電池モジュール) 表面・裏面の汚れ、破損、フレームの破損、変形など 表面の汚れは日常点検として週1回
裏面の汚れ、フレームの変形は6カ月に1回
太陽光電池アレイ(コネクタ・ケーブル) 破損、変形、汚損、腐食など 6カ月に1回
架台 ボルト・ナットの緩み、基礎の歪み、変形・腐食など 破損、変形、汚損、腐食など6カ月に1回
パワーコンディショナー 外箱の破損、配電・電線管の破損、防水処理、異常音、など 外箱・異常音・異臭の点検は週1回
配電・電線管などは6カ月に1回
参考:太陽光発電協会「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」 p59-p64)(上記表は「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」 p59-p64の定期点検例の一部です。実際の保安規定作成・および定期点検の際は電気主任技術者への相談の元、太陽光発電システム保守点検ガイドラインをご確認ください

上記に記載した以外にも、接続箱、集電箱、電力量計、漏電遮断器といった点検対象で、点検項目と点検周期が掲載されています。点検項目の多くは目視ですが、パワーコンディショナをはじめとした電子部品が含まれる点検箇所では、測定が必要とされています。
また、点検周期も、週に1回程度の日常点検から、月次~年次の定期点検まで、項目によって周期が異なっています。
上記ガイドラインを一読することで、導入後の点検内容がイメージできるのではないでしょうか。

メンテナンスは誰に頼むべきか確認するポイント

定期的に太陽光発電システムの点検を行う必要がありますが、では誰が行うのが適切でしょうか。

プロに依頼する

ソーラーパネルの破損や汚れ、周辺環境の保全などは設備所有者や会社の従業員でも行えるでしょう。もちろん、個人でも破損箇所がないか、汚れてはいないかなど、目に見える範囲での点検をすることは大切です。
また、パワーコンディショナーなど操作をする機器では、異音や異臭がしていないか、熱を発していないかなどの確認も行えます。
しかし、自己判断で『大丈夫』と決めつけたり、修理をしたりするのは、危険です。単純だと思われる周辺の草刈りだとしても、間違って接続線や電線を切断する可能性もあります。必ず専門知識のあるプロに依頼するようにしましょう。

また、もし日常の点検の中で不安な箇所を発見したら、定期点検以外でも専門企業の担当者に連絡を入れ、確認をしてもらいましょう。もちろん、専門家に依頼をすると費用が発生しますが、この費用は太陽光発電システムを活用するための必要経費だと考え、用意しておくようにしましょう。

自家消費型太陽光発電のメンテナンスを依頼する業者の選び方

自家消費型太陽光発電のメンテナンスを依頼する際、どのような業者を選定するべきでしょうか。
業者を選ぶときのポイントを確認しておきましょう。
確認したい項目は以下の通りです。

メンテナンス費用
複数の企業がメンテナンスに対応しています。サービス内容と価格を比べ、選びましょう。総合比較サイトなどの評判を確認することもヒントになります。
しかし、当然ながら設置場所の条件や規模によって値段は変化しますので、あくまで目安として、実際に見積もりを出して比較検討するようにしましょう。
対応の良さ
太陽光発電システムは長期にわたり利用するものです。メンテナンスをしていても、予期せぬ飛来物による被害が発生する場合があります。
そのような事態を想定し、迅速に対応できる業者を選定しましょう。
点検後の報告とアドバイス
定期的な点検は滞りなくしてくれる企業でも、その点検の結果がどうであったのか、どのような変化が見られたのか、なにを改善すべきで、どのように対応したのかなど、点検後の報告を丁寧にわかりやすく行ってくれる業者であることが重要です。
また、「今後、どれくらいの時期にはどのようなことに対応する必要がでてくると考えられる」といったアドバイスをしてくれる企業であれば、より安心して任せることができるでしょう。
太陽光発電システムの運用に関する相談対応
太陽光発電システムをどのように活用すれば、消費電力にかかる費用が抑えられるのかといった運用方法についても相談にのってくれる体制のある業者を選ぶようにしましょう。

設置時にモニタリングシステムを導入するのも有効

太陽光発電システムのメンテナンスを専門の企業に依頼するのと並行して、モニタリングシステムの導入も検討しましょう。

モニタリングシステムとは、ソーラーパネルの各ストリング電流と電圧を分単位で計測することで、発電状況を遠隔で監視できるシステムです。
システムによっては感知した情報を、インターネットを通じて警報メールとして受け取れるものもあります。

このようなシステムを設置しておくことで、早期に異常を発見でき、トラブルを回避することで修理費用の削減に繋げることにもなります。

まとめ

工場や倉庫などに自家消費型太陽光発電システムを設置する場合、設置した太陽光発電システムの定期的な点検は避けられません。
設置者として定期点検が義務化されているだけではなく、定期的な点検によって発電量の低下やトラブルを未然に防ぐことが期待できます。
導入後のメンテナンスについても事前に相談し、不安点を解決できる業者を選びましょう。

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。

自家消費型太陽光発電とは?メリット・デメリットや国内事例を紹介

自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電システムで発電した電力を自社施設で直接使用する設置形態です。

「そもそも自家消費型太陽光発電とはなに?投資や売電目的の太陽光発電とどう違うの?」
「自家消費型太陽光発電を導入した場合、設置した企業にどんなメリットがあるのか知りたい・・・」

自家消費型太陽光発電について、こんな疑問があるのではないでしょうか。

この記事では、

  • 自家消費型太陽光発電の概要
  • 自家消費型太陽光発電のメリット・デメリット
  • 自家消費型太陽光発電の国内事例

などについて解説します。

自家消費型太陽光発電とは

自家消費型太陽光発電

はじめに、自家消費型太陽光発電の基本について解説していきます。

自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自社で使用すること

自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自社の施設で消費する太陽光発電のことを指します。

従来の太陽光発電では、固定価格買取制度を利用して発電した電気を全量売電し、収益を得ることが主な目的とされていました。
太陽光発電システムの施工コストが普及当初よりも安価になり、また固定価格買取制度による売電単価の見直しで売電のメリットが薄まったことから、自家消費型太陽光発電の設置に注目が集まっています。

自家消費型太陽光発電には「余剰売電」と「全量自家消費」の2種類がある

自家消費型太陽光発電は、発電した電気の売電の有無によって「余剰売電」と「全量自家消費」の2種類に分けられます。

「余剰売電」とは、太陽光発電でつくった電気を自社施設で消費し、使いきれずに余った電気を電力会社に売電する方式です。
電気使用量が下がる休業日に発電した電力を売電するようなケースが想定されます。
「余剰売電」を選択した場合、全量売電ほどではないものの、売電量に応じた売電収入を得ることができます。

「全量自家消費」とは、太陽光発電でつくった電気をすべて自社のなかで消費する方式です。
稼働時間が多く、電力消費量が多い施設などに適しています。
売電収入を得ることはできませんが、電気代の削減や、再生可能エネルギーの使用比率を高めることで環境への取り組みとして評価されるといったメリットが期待できます。

投資用太陽光発電とは何が違うのか

投資用太陽光発電とは、固定価格買取制度を活用し、発電した電力を電力会社に売電することを目的とした設置形態です。

太陽光発電システムの設置後も、20年間にわたって売電単価が保証されます。
自家消費型太陽光発電が、発電した電力を自社施設で使用することを目的としているのに対し、
投資用太陽光発電は、発電した電力をすべて売電し、自家消費しない点が、大きな違いとなります。

自家消費型太陽光発電のメリット

自家消費型太陽光発電

ここからは、法人施設に自家消費型太陽光発電を導入するメリットについて詳しくご紹介していきます。

電気料金の削減

自家消費型太陽光発電の最大のメリットは、電気料金が削減できることです。
自社施設で使用する電気を太陽光発電でつくった電気でまかなうことで、電力会社から購入する電気量を削減します。
その結果、月々の電気料金の削減が期待できます。

また、電気量料金にくわえて「基本料金」も下げられる場合もあります。

電気料金の基本料金の計算基準には「最大デマンド値(過去1年間の最大需要電力の中で最も大きい値)」が使用されます。
消費電力量を抑えることで「最大デマンド値」を抑え、基本料金を下げることが期待できます。

企業の停電対策(BCP対策)にも有効

自家消費型太陽光発電を導入する際に、「自立運転機能」がついたパワーコンディショナを設置することで、停電が発生した場合でも日中に電力を使用できる場合があります。パワーコンディショナとは、太陽光発電システムで発電した直流の電気を、施設内で利用可能な交流の電気に変換する装置です。

また、蓄電池を導入することで、夜間や天候が悪く発電効率が落ちる場合でも、蓄電池にためてある電気を使用できる場合があります。
もっとも、太陽光発電システムの発電量のみで、停電時の電力を全てバックアップすることは難しいため、優先的に電気を使用したい設備を検討しながら設置する必要があります。

以上の観点から、企業のBCP対策としても、自家消費型太陽光発電は注目を集めています。

余剰売電なら売電収入も得られる

自家消費型太陽光発電であっても、自社で使いきれなかった電気を、FIT(固定価格買取制度)を利用して余剰売電することで、売電収入を得られる場合があります。

発電した電気をすべて売電にまわす全量売電よりも売電収入は少なくなりますが、発電した電力を無駄にすることなく、電気代の削減+売電収入という2つのメリットを同時に得られる場合があります。

節税対策に利用できる場合も

中小企業が自家消費型太陽光発電を導入する場合、「中小企業投資促進税制」や「中小企業経営強化税制」を利用することで、即時償却や税額控除などの優遇税制を受けられる場合があります。
即時償却とは、設備投資の費用を、初年度にすべて経費として計上できる制度です。
導入初年度の利益を押し下げることで、本来支払わなければならない法人税の削減が期待できます。

※中小企業経営強化税制の適用には条件があります。節税となるのは即時償却した当期のみで、耐用年数期間のトータルの税額が減少する訳ではありません。
即時償却を見込んだ自家消費型太陽光発電の導入を検討されていましたら、お気軽にお問い合わせください。

補助金が活用できる場合がある

また、自家消費型太陽光発電の導入に際して、国や地方自治体からの補助金を申請し、交付が受けられる場合もあります。

2020年9月16日時点で受付を行っている補助金制度は、

などがあります。

参考ページ:企業補助金関連情報

※補助金を受け取るためには、制度ごとの所定の条件を満たす必要があります。
※自家消費型太陽光発電は、工事や各種手続きをすべて含めると半年~1年以上もかかるケースもあります。また、実際に工事が完了し、稼働していないと申請できない場合もございますので、期限には余裕を持っていただきますようお願い致します。

環境経営の推進に活用できる

売電を目的としない自家消費型太陽光発電では、再生可能エネルギーを自社で発電できる点がメリットとなります。

「SDGs」「RE100」などが日本国内においても注目されているなか、再生可能エネルギーによる脱炭素化への取り組みは、「CSR活動」として企業の価値を高めるでしょう。

また、企業が環境や社会へ配慮しているかどうかを投資基準とする「ESG投資」も広がりを見せています。

自社施設の消費電力における再生可能エネルギー比率を高め、環境経営を推進することができます。

工場立地法・省エネ法などの法令への対策

工場立地法や省エネ法などの法令の基準の達成を目指す場合でも、自家消費型太陽光発電は有効です。

たとえば工場立地法であれば、自家消費型太陽光発電は「環境施設」としてカウントされます。
また、施設のエネルギー使用量を制限する省エネ法においても、電力会社からの買電量を減らすことができるので、省エネ対策になります。

自家消費型太陽光発電のデメリット

自家消費型太陽光発電の導入事例

ここからは、自家消費型太陽光発電のデメリットについて解説していきます。

施設の稼働状況・稼働時間で節電効果が変わる

自家消費型太陽光発電による節電効果は、施設の稼働状況によって異なります。

自家消費型太陽光発電は、太陽が出ている日中に発電し、施設に電力を供給します。
日中の電力使用量が多い施設のほうが、効率よく電力を使用できます。

また、発電した電力を全量自家消費する場合、施設の休業日は発電した電力を活かすことができません。
人員を2交代・3交代するような稼働日数が多い施設ほど、太陽光発電システムで発電した電力を、フルに消費することができます。

導入コストが高額

自家消費型太陽光発電を導入する際のネックとなるのが、高額な設置費用です。

ただし、導入に必要なパネルの費用は年々低下傾向にあります。
加えて、前述の補助金や節税制度を適切に活用することで、初期費用を抑えて設置できる場合もあります。

また、初期投資0円(※)にて、自家消費型太陽光発電を設置できる「PPAモデル」と呼ばれる設置方法もあります。
PPAモデルは第三者所有モデルとも呼ばれており、施設の所有者はPPA事業者に屋根を提供し、PPA事業者が太陽光発電を設置します。
施設の所有者は、PPA事業者が発電した電力を安価に購入し、電気料金を削減することができます。
施設の所有者の立場では、太陽光発電の高額な設置費用が不要となり、なおかつ資産としての所有やメンテナンスを避けることができる点がメリットとなります。

※ここでの「初期投資」とは、本システム導入に関する施工関連費用(工事代金、機器代金、設計技術費用等)を指します。また、契約金額に応じた印紙や切手など契約締結にかかる諸費用は別途必要です。
※ PPAは個別に審査があり、契約期間や電気利用料は契約で取り決めます。また、契約期間満了後の設備の取り扱いに関しては契約の内容により異なり、設備を自ら保有する場合には追加費用が発生する場合もあります。
※オフバランス化につきましては監査法人等、専門家と十分協議いただきますようお願いいたします。

メンテナンス・維持費がかかる

自家消費型太陽光発電を導入した後も、メンテナンス費用・維持費が必要になります。
具体的には、パワーコンディショナの交換費用、定期点検費用、清掃費用などがあてはまります。

太陽光発電のランニングコスト(メンテナンス費・維持費)については、詳しくは以下の記事をご覧ください。

なぜ今「自家消費型太陽光発電」なのか

企業が自家消費型太陽光発電に注目しているのは、電気代の削減に役立つからだけではありません。このほかにも、太陽光発電をめぐる情勢の変化が絡んでいます。

「FIT法」改正により方向転換を図る企業の拡大

FIT法は、再生可能エネルギーの普及を目標として制定されました。わかりやすくいえば固定価格買取制度のことで、開始当初は買取価格が40円(税抜)/kW(10kW以上)と高かったことから、太陽光発電投資に乗り出した企業も多くありました。しかし、このFIT法をきっかけに太陽光発電を開始する方が急増し、のちに紹介する「九電ショック」のような事象も発生したのです。そのため、2017年にはFIT法は改正を余儀なくされ、単価の大幅な見直しも図られました。

たとえば、2,000kWを超える大型の事業用太陽光発電においては、入札制度が導入されることとなり、10kW以上2,000kW未満の発電設備も21円(税抜)/kWhへと引き下げられました。また、10kW未満の発電設備については、出力制御対応機器の設置の有無により単価が異なり、3年ごとに価格が提示されるようになりました。これは、今後太陽光発電設備を導入しようと考える方が価格変動のスケジュールを把握できるよう、配慮された結果です。

単価はその後も見直されており、2020年現在は、2020年度は10kW以上50kW未満は13円(税抜)/kW、50kW以上250kW未満は12円(税抜)/kW、250kW以上から入札制度により決定することとなりました。

こういった変化から、「売る」よりも「消費する」ほうが得をするという認識が生まれ、自家消費型太陽光発電が注目を集めているのです。

九電ショックにより出力抑制のリスクが発生

もうひとつの背景が、先ほど挙げた「九電ショック」です。
九電ショックとは、2014年4月から電気の買取価格が下落することを受け、九州電力に系統接続の申し込みを行う方が急増した問題を指します。九州電力は、このとき申し込みされた太陽光発電設備のすべてを接続すると発電量が消費電力を上回ることから、電力の需給バランスが崩れることを危惧しました。そのため、既存・新規を含め系統接続の回答をすべて一時保留する事態となったのです。その後、北海道や四国、沖縄などでも保留の発表が相次ぎ、多くの事業者に“ショック”を与えました。FIT法改正時にはこの事件を踏まえて、出力抑制が設けられることとなったのです。

出力抑制とは、電気の需給バランスが崩れた際にとられる対応のことを指し、これにより需要を供給が上回った場合には売電できなくなる可能性もあります。こういったリスクに加え、買取価格の下落も進んでいることから自家消費型太陽光発電を検討する企業が増えつつあります。

自家消費型太陽光発電の国内導入事例

ここでは、自家消費型太陽光発電の国内事例を紹介します。

大規模な設置事例

積水化学工業は、2020年1月31日に、環境負荷低減を目的とした取り組みとして、国内の4工場に対して合計3.2MWの自家消費型太陽光発電を設置すると発表しました。この設置には5.6億円の資金が投じられ、発電出力は合計3,287kWとなり、4工場の年間使用電力量の約37%にあたる約3,100Mwh/年をカバーできることが見込まれています。

これは電気料金に換算すると4,300 万円/年が削減できる計算となり、温室効果ガス排出量に関しても約1,720t-CO2/年を削減できる見込みとなっています。

自家消費型太陽光発電まとめ

自家消費型太陽光発電は、発電した電気を自社施設で使用する設置形態です。
電力を自家消費することにより、電気料金の削減や、環境経営への参画による企業のイメージアップなどのメリットが期待できます。

また、災害などの増加によって注目を集めている企業のBCP対策にも、自家消費型太陽光発電を活用できる場合があります。

株式会社エコスタイルでは、お客様の施設の電力使用状況や、施設の立地、太陽光発電に期待されている効果をヒアリングさせていただき、最適な導入プランをご提案させていただきます。

まずはお気軽にお問い合わせください。